元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

快感のひとつ

2012-03-30 | 仕事について

万年筆を使っていて、書き味についてこれは気持ち良いと思うポイントがいくつかあります。

そのひとつがペン先の背中にインクがムニュっとでてくる瞬間です。

紙にペンポイントを置いた時ペン先が開き、紙から離れた時ペン先が閉じる動きによって、切り割周辺からインクが少しだけ顔を出す、ほんの少しだけ湧いてくる。

ボタ落ちするほどではなく、本当に少しだけ出てくる。

この瞬間が快感だと言うと、変に思われるのかもしれない。

私の快感に賛同が得られなくても、そのムニュっとインクが出てくる瞬間を見たことのある人はおられるだろうと思います。

私が使っている万年筆全てがそうなるわけではなく、パイロットシルバーン、ペリカンM800、パイロットスーパーなど限られた万年筆にしか起こりません。

ペン先の硬軟の加減、寄りの状態、インクなど様々な要素があるのかもしれないけれど、この「ムニュ」は何かひとつの書き味の良さを持った万年筆の証のように感じられます。