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琉球新報社説掲載 沖縄の自己決定権回復  「私たちは孤立していない。世界が見ている」

2014-12-31 | 世界を知る

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<社説>2014年回顧 新たな時代の幕が開いた 犠牲拒む意思を示した年2014年12月31日 

 


 2014年も暮れゆく。さまざまな意味で局面が転換した年だ。沖縄は明らかに新たな舞台へ移った。ことしを漢字で表すなら「幕」の字が真っ先に思い浮かぶ。
  最大の出来事は何といっても「オール沖縄」を標榜(ひょうぼう)する勢力が翁長雄志新知事を誕生させたことだろう。米軍基地の強要は沖縄への構造的差別で あり、それを沖縄が一体ではね返すという意思が「オール沖縄」の言葉に込められている。沖縄はもはや犠牲を甘受しないという宣言にも等しい。その意味で、 単に県庁のトップが交代したというにとどまらない歴史的意義がそこにある。新たな時代の「幕開け」と言っていい。
 
自決権回復の試み

 そうした政治的意思がことしほど鮮明に表れた年はない。1月の名護市長選は米軍普天間飛行場の辺野古移設阻止を訴えた稲嶺進氏が大差で再選を果たした。11月の知事選に続き、12月の衆院選は「オール沖縄」を掲げる移設反対派が県内4選挙区全てを制した。
 いずれも当選者の中には、かつて保守政治家であったり保守行政の中枢だったりした人物が含まれる。翁長氏の発言がその意味を表している。「イデオロギーよりアイデンティティー」。沖縄内の保革対立という内輪もめをやめ、本土に異議申し立てをするとの意味を持つ。
 これらの意思表示は、沖縄にとり死活的な事柄は、他の誰でもなく沖縄自らが決める、という自己決定権回復の宣言といえよう。
 これは単なる現状変更の要求ではない。琉球王国時代は中国交易の利益を収奪され、太平洋戦争では本土決戦までの時間稼ぎの捨て石となり、サンフランシス コ講和条約締結時には日本独立の引き換え条件とされた。そんな「質草」扱いの史実を踏まえた意思表示だ。だからこれは、不可逆的な、後戻りできない要求な のである。
 だが政府は明らかに軽く見ている。8月には反対の民意を押し切り辺野古の海底を掘削する暴挙に出た。菅義偉官房長官は知事選の結果も意に介さず、「移設を粛々と進める」と言い放つありさまだ。
 仲井真弘多前知事の言動が「沖縄の抵抗は金目当て」という本土側の誤解を増幅させたのだろうが、翁長氏もいずれ移設容認に転ずるとの見方が本土には根強くある。だが前述の通り沖縄の民意は不可逆的だ。
 そしてそれは国際社会から見ても正当な闘いである。1月に海外識者多数が沖縄を支持する声明を出したことがそれを示す。政府には誤算だろうが、稲嶺進氏が述べた通り、「私たちは孤立していない。世界が見ている」のである。
 
朗報相次ぐ

 一方で明るい出来事も続いた。学力テストで県内の小学校が全国総合24位に躍進したことが印象的だ。好成績が定着するか判断するのは早計だが、県内教育界が新たな局面に移行したのは間違いない。中学への波及も期待したい。
 興南高校ハンドボール部の全国3冠達成もまた歴史に残る偉業だ。空手の喜友名諒選手による世界選手権優勝、柔道の七戸龍選手による世界選手権準優勝などの快挙も県民への清涼剤となった。
 南城市のサキタリ洞の発掘は日本の考古学史に新たなページを加えた。慶良間諸島の国立公園指定もまた、沖縄観光を新たな水準に引き上げてくれそうだ。
 教科書無償措置法改正に伴い竹富町教育委員会が単独採択地区となり、八重山教科書問題は幕を閉じた。沖縄の抵抗が政府の横暴を退けた意味でも意義があった。
 経済では沖縄三越の閉館が印象深い。一つの時代が幕を閉じた感を深くする。今後はリウボウ商事が新たな施設として運営するが、国際通りの新時代を切り開く施設となってほしい。
 沖縄の自己決定権回復の歩みはこれからが本番だ。政府は県民に無力感を刷り込もうとしているが、間違いなく理はこちらにある。着実に歩みを重ねたい。



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