「国会解散を」タクシン派10万人突破
タイ首都
(写真)14日、バンコクでの大規模反政府集会で気勢を上げるタクシン派支持者(井上歩撮影) |
【バンコク=井上歩】タイのタクシン元首相派は14日、全土から10万人を超える支持者を首都バンコクに集め、解散総選挙を求める反政府集会を開 きました。同派は政府が15日昼までに要求に応じない場合、行動を激化させると警告。政府は非常事態宣言も視野に警戒を強めています。
シンボルカラーの赤色を身に着けたタクシン派運動団体「反独裁民主同盟(UDD)」の支持者は14日も集結を続け、バンコク西部・独立記念塔周辺の道路を埋め尽くしました。集会参加者は同日夜には十数万人から20万人に上る見通し。
集会で支持者らはデモ隊の到着ごとに歓声を上げ、「主権を国民に取り戻す」などと気勢を上げました。
UDD指導者は正午すぎ、24時間以内の国会解散を要求。同派は15日には十数万人で市内をデモ行進すると表明しており、アピシット首相が治安対策の指揮所とする歩兵連隊基地へ向かう構えも見せています。
軍は同日、同基地の警備を増強。タイ各紙14日付は政府が非常事態宣言を出す見通しだといっせいに報じました。宣言が出されれば軍が治安維持を指揮、集会自体が禁止されることになります。
ただアピシット首相は同日テレビ演説で非常事態宣言は当面ないとし、集会が平和的に行われる限りは解散に乗り出さない考えも表明しました。退陣や下院解散は拒否する姿勢を示しました。
タクシン派は、元首相の資産没収判決(先月26日)の一方で、反タクシン派の空港占拠事件(2008年)が裁かれていないのは二重基準だと反発。 タクシン政権が06年のクーデターや政党解党などの司法判断で追い落とされたことから、「民主主義」を旗印に解散・総選挙と選挙結果に従うよう要求してい ます。
タクシン派は軍部や現政権との対立は「貴族・特権階級政治とのたたかい」だと主張しており、タイの政治対立は王制など国の制度の根幹にまで及んでいます。