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文在寅政権は関係国の利害関係に巻き込まれ不本意な選択を迫られる前に、北南関係改善の起点をつくらなければならない。

2017-05-31 | 文 在寅 韓国大統領情報

キャンドル大統領の課題/激動する世界で(中)

情勢変化を見据えた北南関係の転換/首脳合意、忠実な継承と大胆な実践

南で新大統領が就任した日、開城工業地区に入居する企業の団体が声明を発表した。工業地区の閉鎖によって財産権を失った企業の関係者たちは、新大統領が「朝鮮半島の平和経済の出発点」となる工業地区再開のための措置をとるよう求めた。

経済協力事業の再開

北南首脳合意を否定した李明博、朴槿恵政権が同族対決の論理で中断した金剛山観光、開城工業地区などの対北事業が文在寅政権下で再開されるという期待感が高い。民族共同の利益を図る協力事業の推進は、破局に瀕した北南関係を修復し、関係改善の流れをつくる糸口になり得る。

米国発の「4月危機」説とそれに対する日本、中国、ロシアの反応が示すように、大国は朝鮮半島をめぐる本格的なパワーゲームに突入している。熾烈な角逐戦が繰り広げられる外交舞台で南が自己主張を貫くためのポジションを確保する上で重要な基盤となるのが、北南関係の改善だ。

文在寅政権は関係国の利害関係に巻き込まれ不本意な選択を迫られる前に、北南関係改善の起点をつくらなければならない。

北南合意にもとづく協力事業を他国の許可を受けて推進しなければならない理由はない。トランプ大統領は対朝鮮圧迫の必要性を強調し、北南対話は、「適切な状況下」で行われるべきだと釘をさしているが、反論の余地はいくらでもある。制裁や封鎖だけでは核、ミサイル問題を解決できないことが現実によって証明されている。例えばロシアは、国連安保理制裁に賛同しながらも、朝鮮と共同で国際観光船「万景峰」号を運営するなど、軍事的懸案と経済協力の分離アプローチの実例を示している。

どんな外圧にも揺らぎことなく、民族共同事業を推進していく志と勇気の源は、北南合意の精神への信念だ。文在寅政権は、何よりも自主統一と平和繁栄のパートナーである北の意志を正しく理解し、現実的な北南共助の方法を確立する必要がある。

朝鮮労働党第7回大会(2016年5月)は、金日成主席、金正日総書記が示した主体的な統一路線を堅持する立場を表明し、∇民族自主∇民族大団結∇平和保障∇連邦制の実現を統一の道を開くための方策として提示した。 金正恩時代の朝鮮が7.4共同声明と6.15共同宣言、10.4宣言に明記された北南合意事項の意義を朝米対決の総決算を見据える新たな時代の文脈の中で再定義したといえる。

朝鮮半島情勢の激変が予想される中、文在寅政権が外勢の不当な圧力と干渉を排し、北との共同歩調で古い対決構図を解消していこうとするのなら、パートナーが先に表明した「4つの方策」が、政策の立案と推進において必要不可欠な指針となる。

民族共同行事の実現

金大中、盧武鉉政権時代の北南合意が保守勢力の執権によって覆された経験を繰り返してはならない。それが腐敗した政権を退陣させキャンドル民心の要求だ。

南の統一運動団体は民族共同行事の開催に向けた準備を進めている。(写真は2005年、平壌で行われた民族統一大祝典)

文在寅政権の課題は、任期中に後戻りしない北南関係発展の礎を築くことだ。そのためには北南合意履行を保証する法制度を整備し、これに反する悪法と慣習をなくしていかなければならない。

大胆な改革の断行は、絶大なる世論の支持を前提とする。政権交代以降も保守勢力の逆襲が予想されるだけに、文在寅政権が北南関係改善を目指すなら、南の各階層が北南合意の精神に賛同し、協力交流と統一運動の主人公になれるような環境づくりが重要になる。

文在寅政権は対北政策に対する社会的コンセンサスを広げていくことを主張し、「国民とともに進める民生統一」を提唱している。民衆の力を信じ、民衆の総意に従うならば、北南当局間の対話が行われる前でも、「北南合意実践の大衆化」を実現できる。

民族レベルでは、すでに北、南、海外の政党、団体、個人が参加する「全民族的な統一大会合」の構想がある。昨年、北側は、政府当局関係者を含めた南の各階層に、「会合」実現を訴える手紙を送っている。

民間統一運動では、今年の6月15日から10月4日までを北南宣言発表記念期間と定め、民族共同の記念日である6月15日、7月4日、8月15日、10月4日に平壌、ソウルをはじめとする北側、南側の地域で民族共同行事を開催するための準備が進められている。

文在寅大統領は、盧武鉉政権当時、青瓦台秘書室長として第2回北南首脳会談の準備を統括した経験を持つ。彼が6.15共同宣言と10.4宣言の「正統な継承者」を自任するなら、すべての民族構成員を祖国統一の主人公とすることに、誰よりも積極的であるべきだ。当面は、保守政権下で中断された民族共同行事を再開しようとする動きに対するサポートの度合いが「継承者」の意志を測る試金石となる。

分断積弊の清算

北南首脳合意の「産児」として、保守政権下でも統一運動の命脈をつないできた6.15共同宣言実践南側委員会は、「積弊清算の中で最も重要なのが分断積弊」と主張し、キャンドル革命によって生まれた大統領が、反統一勢力の執権下で蓄積した悪弊を一掃することを訴えている。

国家保安法の撤廃など長年の課題以外にも、キャンドル大統領が早急に着手すべき課題がある。李明博、朴槿恵政権の9年間だけを見ても、米国と共謀して「北の仕業」と断定した「天安」号沈没事件、中国の朝鮮レストランで働いていた女性従業員の集団誘引拉致事件など権力維持のための反北謀略劇、反人倫的蛮行があった。

キャンドル大統領は自主統一に向けた着実な歩みを続ける一方、反北扇動に利用された事件の真相を究明することで、祖国分断を統治基盤とした腐敗権力の正体を暴いていくべきだ。分断積弊の清算によって、同族対決を排し、北南和解を目指す幅広い世論が形成されれば、文在寅政権は、大胆かつ果敢な対北政策を進める大きな原動力を得ることができる。

(金志永)



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