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京都朝鮮中高級学校創立65周年記念 金剛山歌劇団2018舞踊ミュージカル「春香伝」が7月28日、ロームシアター京都・メインホールで行われ・・・

2018-08-22 | 朝鮮文化の紹介

立場越えた1千人を圧倒

金剛山歌劇団2018京都公演の記録

金剛山歌劇団2018京都公演が行われた。

京都朝鮮中高級学校創立65周年記念 金剛山歌劇団2018舞踊ミュージカル「春香伝」が7月28日、ロームシアター京都・メインホールで行われ、総聯京都府本部の金尚一委員長、「文化・学術・市民交流を促進する日朝友好京都ネット」(以下、日朝友好京都ネット)の役員らをはじめとする同胞、学生、日本人士ら約1千人が鑑賞した。

本番を控えた団員たちが口を揃えて話したのは「こんなすばらしい劇場で公演をできるなんて」というもの。「文化芸術都市」を誇る京都において、文化芸術の創造・発信拠点として名を馳せている会場は「団員たちがやりやすいように」(実行委・全将行総聯南支部委員長)と準備されたものだ。

舞踊ミュージカル「春香伝」のワンシーン

7月24日に京都府庁で記者会見を開き「日朝国交正常化のための提言」を発表した日朝友好京都ネットの会員たちも、本公演の特別協賛として一役買って出た。幹事会のメンバーそれぞれがチケットを数枚ずつ持ち歩き宣伝にあたった。幹事会の一員で大谷大学助教の森類臣さんは「忙しい中でも、親善交流の一環として出来る範囲で知り合いに声をかけた。もちろん『日本で生まれた朝鮮の方々からなる、朝鮮の劇団です』と紹介は堂々と。歌劇団を知らない人もたくさん関心をもってくれた」と話す。

今年創立65周年をむかえる京都中高民族器楽部、声楽部、吹奏楽部の生徒たちによる記念公演が披露された後、舞踊ミュージカル「春香伝」の幕が上がった。

春香と夢龍の出会いから別れまでを終始、固唾を呑んで見守った観客たちは2人の再会シーンになると大きな拍手で祝福した。婚礼衣装を身にまとい、虹のように広げられた「五福スゴン」をくぐり抜けた2人をスポットライトが明るく照らすと、拍手の音はさらに増し、その音量はエピローグで流れた北南両首脳の映像で頂点に達した。

舞踊ミュージカル「春香伝」のワンシーン

金秀子さん(54)は「6年前に上演された『春香伝』も見たが、そのときとはメンバーも変わっている。若い団員たちがあのような役をするには難しいはずなのに、役にしっかりはまっていてとても良かった。『卞学道』役の柳展鉉さんの演技にも、ものすごく感動した」とし「変貌を遂げる情勢ももちろんだが、団員たちがそれこそ『一つ』になって作品を完成させたと思うと、さらに感動した」と話した。

公演には、民団京都府地方本部元団長の王清一さんも訪れた。「南北のスポーツ、文化、多方面の交流を望んでいる。南北・米朝首脳会談には日本はもちろん世界中がびっくりした。南北を結ぶ鉄道も道路も連結、現代化される。統一は、南も北も在日もみんなが望んでいることだ。数年前に行った民団と総聯との合同行事を復活させてほしい。在日も思想と理念と立場を越えて、この公演ような文化交流を重ねていくことが重要だと思っている」と感想を寄せた。

観客にむけて手を振る団員たち

生徒らの特別公演

開場を控えたロビーでは、団員らではなく、京都中高の民族器楽部・声楽部・吹奏楽部の生徒たちの音合わせが行われていた。「(京都中高)創立65周年という節目の年の公演で、母校の後輩たちと一緒に舞台に立てることをとても嬉しく思っている」――そう話すのは京都出身の舞踊手・金沙都さん。この日、歌劇団の公演に先立ち、今年創立65周年をむかえる京都中高生徒たちによる特別公演の時間が設けられた。吹奏楽部顧問の李相大教員は「歌劇団の舞台というプレッシャーもあるが、生徒たちの可能性を存分に発揮する良い機会にしたい」と話す。「今の時代、朝鮮学校に通う生徒たちには、日本における差別に立ち向かうため団結するだけでなく、北南朝鮮はもちろん、米国や中国など世界をつなぐ役割、価値があると思う」(李教員)。

吹奏楽合奏「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙」

声楽部の指導にあたっている劉福香さん(47)は「子どもたちがしっかりと『この歌』の歌詞を伝えられたら」と話す。この日声楽部によって披露された歌「オンマ、あのね」は、分断時代に生まれた在日の子どもたちの素朴な思いを詩にしたものだ。

合唱「オンマ、あのね」

生徒たちはそれぞれ前記の合唱、民族器楽合奏「春の訪れ」、吹奏楽合奏「斐伊川に流るるクシナダ姫の涙」を披露。観客らは生徒たちをあたたかく見守り、時には目頭をぬぐいながら喝采の拍手を送った。

吹奏楽部に所属していたという同校卒業生の李佳奈さん(21)は「高校2年生のときに創立60周年を迎えた。いろんな懐かしさが込み上げてきたし、後輩たちがあのように舞台で演奏している姿を見ると感慨深い」と話した。

和楽器奏者の山本朗生さんは「どれもが高レベルでの演奏で、学校の高い水準での音楽教育を感じた。このレベルの演奏は、普通の公立の学校などではまずお目にかかれないと思う。また舞台に立つ所作なども落ち着いていて、とても素晴らしい演奏だった。どんな学校教育からこんな充実した演奏が生まれるのだろうと思った」と感想を寄せた。

民族器楽合奏「春の訪れ」

出演前、「ウリハッキョにしかない民族器楽部の演奏を通して、65年の歴史を刻んだ京都中高のすばらしさをアピールしたい」と話した民族器楽部主将の趙唯純さん(高3)。演奏が終わると清々しい表情で「すごく楽しかった」とし、「2階席に座って歌劇団のオケピを見るんだ」と楽しそうに目を輝かせた。

「根強いファン」

ガラス張りの会場ロビー、通路までぎっしりと埋めた長蛇の列を「何事か」と言わんばかりに下から見上げる人びとが目に付いた。会場で働く女性職員は「この劇場を利用される一般のコーラス団体や劇団と比べても、今日の公演には多くのお客様がいらした。普通は1階席で閉めてしまうところ、2階、3階席にもみなさんがお座りに。『根強いファン』がいらっしゃるんだろうと思った」と話す。

観客らは長蛇の列を成した。

開場の3時間前、1番最初に入り口に並んだのは64歳の日本人男性。公演の知らせを聞いたときから、この日を楽しみにしていたという。「昔、舞鶴港によく万景峰号が来て、朝鮮の物産をたくさん持ってきてくれた。蟹がすごく美味しかったんだ。在日の皆さんとはそのときから仲良くさせてもらっている」。他の予定がないかぎり、歌劇団の公演は何度も見に来ているという。

公演後、出演者らとのささやかなふれあいも。

福知山公立大学学長・井口和起さん(78)も「総聯とは長い付き合いだ」とし、「朝鮮の舞踊はとてもしなやかでびっくりする。見るたびに新しい感動を得る。日本と朝鮮半島の近代歴史を研究しているが『春香伝』についてもストーリーは少し知っていて楽しく見た」と顔をほころばせた。「そして今年は特に特別な感情がある」と井口さん。「朝鮮半島情勢の大きな曲がり角に差し掛かった今、世界全体が関わる新しい歴史の一歩を踏み出すときにこの公演ができた。すごく嬉しく思っている」。

長年にわたり築き上げられた朝・日友好の歴史は日本人士らの中にも歌劇団の「根強いファン」を生んだ。そして友好の希望は、若者たちの心にも。朝鮮学校と民族教育の発展をめざす会・京滋「こっぽんおり」事務局の三嶋あゆみさん(37)は「エピローグで朝鮮半島の統一をテーマにした歌や映像が流れた瞬間、在日のみなさんの拍手と熱気に圧倒された。作品に込められた意味と同時に、みなさんの思いをしっかり感じ取ることができた」という。木村理恵さん(39)は「時にはシリアスで時にはコミカルなシーン、伝統的なものから現代的な踊りまでさまざまなものを見れてとても楽しかった」としながら「朝鮮の歴史を詳しく知っているわけではないが、統一に熱い思いを馳せるみなさんの中に一緒にいられたことをとても嬉しく思った」と心境を述べた。

(李鳳仁)



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