〈取材ノート〉生活に根づく文化芸術の力
9日、金剛山歌劇団の2016年巡回公演がスタートした。今年は民族教育の節目の年。初回となった東京公演では、都内の朝鮮学校生徒たちを招いた昼の招待公演に続き、一般客を対象とした夜公演と続いた。
「生徒たちには何か教養のためになるようなステージを届けなければならない。一般公演とはまた違った緊張感がありました」
公演後、筆者が劉正一舞踊部長(36、功勲俳優)を訪ねた際、出てきた言葉は、音楽や踊りを届ける大きな責任感だった。
数々の新作とともに、10年前に披露した作品にも再挑戦するなど幅広い年齢層の観客に向けて常に最高のパフォーマンスを届けたいという信念のようなものを感じた。
「初心を忘れず平常心で。慢性化しないよういかに自分を奮い立たせるかが重要」
生活のなかで口ずさみ、慣れ親しんだ曲や踊り、チャンダンなど、懐かしさと新鮮さが混ざったステージに、観客たちは会場を後にしながら「やっぱり歌劇団は最高! 」だと口々に語っていた。
「同胞たちの応援が原動力。同胞たちをまえに、きれいな心で舞台に立つことを胸に刻みツアーをまわりたい」とある団員の言葉。
同胞社会を元気づける、活気づける、勢いづける、そんな様々なきっかけの要となる役割を担った歌劇団ツアーに今年も期待したい。(賢)