【コラム】「第2の韓日関係正常化」と米国
2015年06月26日/中央日報日本語版
イラスト=キム・フェリョン |
尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官が22日、安倍晋三首相に東京の首相官邸で会った。韓日関係の障害だった不和が近いうちに終わりそうだ。同日、両 国政府は韓日国交正常化50周年を記念した。節制されていたが、内容的に前向きな行事だった。両首脳が秋にソウルで開催される韓日中首脳会談で、韓日首脳 会談のために別途に会う可能性もあるという観測が出てきた。ついに両首脳が初めて首脳会談のために会うのだ。
韓国と日本の関係が歪んだ理由は多いが、2つの事件を挙げたい。最初の事件は、李明博(イ・ミョンバク)前大統領が2012年に独島 (ドクト、日本名・竹島)を訪問したことだ。振り返ってみると問題のある訪問だった。独島に対して韓国が権利を主張できないからではない。未解決の歴史的 イシューに対する国際政治の最も重要な規則を破ったからだ。「善を施すことができなければ、害を及ぼすな」は原則だ。李明博前大統領の独島訪問以前にも日 本は毎年「竹島の日」を記念し、これに対して韓国が抗議した。予測と管理が可能な摩擦だった。韓国の大統領で初めて李前大統領が独島を訪問すると、際ど かった現状(status quo)が崩れて日本側が反発した。
2つ目の事件はより個人的なことだ。朴槿恵(パク・クネ)大統領の就任式の日に発生した。日本政府は麻生太郎元首相を派遣した。麻生元首相がまた問題となる発言をして波紋を起こした。朴大統領が就任した日から韓日関係の最初のボタンを掛け違えたのだ。
安倍首相は任期初期に河野・村山談話の修正を示唆した。火に油を注いだ。これも慰安婦問題という微妙な事案をめぐる両国間の均衡を破 ろうという試みと把握された。その後に安倍首相は2つの談話を継承すると約束した。称賛するほどのことだ。安倍首相は太平洋戦争終戦70年記念日の8月 15日をどう扱うのだろうか。外交舞台の関心がその日に集まっている。
米国の政界では、安倍首相が過去の歴史に言及する際、新しい表現を使うことを希望している。少なくとも4月の米上下院合同演説のよう に「後悔(repentance)」という言葉をまた述べることを期待する。外交関係の法律家は言葉一つ一つを詳細にチェックする。しかし言葉の選択より 重要なのは、安倍首相が慰安婦生存者に何らかの人間的なジェスチャーを見せることだ。どのような新しい、賢い話しぶりより、行動が記憶に残るからだ。
韓日関係が急変すると、メディアは楽観的な見方を始めている。しかし両国関係が陰から抜 け出すにはまだ前途が長いことを考える必要がある。韓日関係の専門家は両国関係がどれほど変わりやすいかよく知っている。8月15日までまだ少し時間があ る。何がどう間違って交渉が崩れるか分からない。
前向きに動く両国関係がまた膠着状態になれば、最も大きな打撃を受ける国は米国だ。歴史的に見ると、米国は韓日関係が発展するよう水 面下で静かに前向きな役割を遂行した。50年前、椎名悦三郎外相が李東元(イ・ドンウォン)外務部長官と国交正常化を議論するためにソウルに到着した。椎 名外相に同伴した人物の中にはエドウィン・ライシャワー駐日本米国大使がいた。当時米国務次官補だったウィリアム・バンディとハーバード大で教授生活をし ていたライシャワー大使は、椎名外相の1965年2月の韓国訪問を後押しした核心人物だ。彼らは日帝時代に対する声明を日本が出すべきだと促した。65年 春に国交正常化のための韓日会談が膠着状態に陥った時、米国は李東元長官をワシントンに招請した。韓国政府が国交正常化の最後の障害を乗り越えるよう強く 勧告するためだった。
当時と同じように今も米国は韓日関係の改善のために、些細なことではあるが重要な役割をする。韓国側にはより多くの容赦を、日本側に は歴史問題に対する前向きな態度を訴える。同時に北朝鮮・テロ・サイバー攻撃のような外部の脅威に対抗するため、両国の実用主義的な協力が必要だというこ とを力説する。オバマ政権は韓日間の葛藤に介入しなかった。しかしオバマ政権は歴史問題に関し、慰安婦女性を「性的奴隷(sex slave)」と定義 し、静かに韓国側に立った。同時に日本をより積極的な米国の同盟国にするという安倍首相の努力を支持してきた。米国は韓日米首脳会談という席を用意したり もした。
韓国と日本の関係が悪ければ、オバマ大統領の「アジア重視政策(pivot to Asia)」が作動しない。北朝鮮に対する抑止力 も弱まる。中国の浮上をアジアに前向きな要因に誘導できる能力も弱まる。したがって韓日両国の「第2次関係正常化」は修交50周年を迎えた当事者である韓国と日本に劣らず米国にも重要だ。
ビクター・チャ米ジョージタウン大教授