訪朝報告、思いつくままに・・・ 木村幸一
府連 ニュース12月号より 最後まで一挙報告
3、自由な雰囲気だったメーデー会場
5月1日は、北朝鮮もメーデーだ。 私たちも自由時間だったのでメーデー会場にいってみた。平壌メーデー広場では、労働者家族が集まって、日本の花見のような雰囲気で食事をしたり、酒を
飲んでいる人もいた。日本の野外での集会に比べて人数は少なかったが、青年男女がわいわい言ってゲームをしていた。
私は、京都大学の小倉先生(NHKのハングル講座の先生)と娘さんと三人でその公園の中をぶらぶら歩いていた。小倉先生の通訳で私は、そこにおられた市民に、「私たちは日本から来た
が、日本は好きか?」と質問した。答えは「アメリカの次に嫌いだと言う」他の方にも同じ質問をしたら、答えが同じだった。なぜ同じなのか、よく聞いてみると、土曜日には労働者のサークルごと
に労働新聞で勉強会をしているのだと言う、なるほどと合点した。小倉先生は、もっと市民の声を直接聞こうといわれた。
小倉先生のような立派な通訳でなくても、日本人でハンブルの出来る方が、もっと沢山行く必要があると思った。
4、ビール大瓶一本81円、結構うまい 輸出したら外貨稼げるよ!
銘柄は、「大同江ビール」一本81円(大西先生が換算)、ホテルで飲んでも外の店で飲んでも同じ値段だったが、これが結構おいしかった。外貨を稼がなければならない北朝鮮にとって、この
ビールなら日本でもよく売れると思ったので、見学したビール工場で「輸出したらどうですか?」と聞いてみた。説明の方が、「そうですか」と嬉しそうだったが、まだ国内の需要にも追いついてい
ない、製造量が少ないから今は無理です。という答えだった。
日本では水道水をがぶがぶ飲むことができるが、外国では毎日飲む水はペットボトルのところが多いが、北朝鮮もペットボトルだった。毎日ホテルにかえったら、新しいボ
トルが2本ずつ配られている。値段はわからなかった。
韓国の1万ウオンは、日本の800円~850円くらいだが、北朝鮮のウオンはよくわからない。大西先生と言う経済学者もおられたが、私もよくわからないと言われる。国際的にはそのまま通用せ
ず、一度中国の「元」に変えてからさらにユーロやドルに変えねばならない。二度手数料を払わねばならず、目減りが大きすぎる。だからすぐに円に換算できないのと、ほかの物価との比較、無料
のものや配給されるもの、一ヶ月の生活費は北朝鮮ウオンでいくらあればできるのか、すぐに計算できないので値段だけを見ていては値打ちがわかりにくいということだった。
5、カラオケもありました。対外文化連絡協会の職員と・・・
晩、ひまそうにしていると、カラオケに行きましょうか?と声がかかる。ホテルの近
くにカラオケボックスが何部屋か並んでいる。ネオンなどはなく、普通の建物で、いつ
も対外文化連絡協会のかたが、むかえに来る。
歌い放題・飲み放題・食べ放題で日本円で3000円である。曲目は日本の歌は殆どなん
でもある。勿論演歌はそろっている。店員は若い女性が何人かいるが、公務員である。日本人にはときどき行儀の悪い人がいるの握手意外はだめだと念を押される。私は途
中トイレにいって帰ってきたとき同じようなドアーが並んでいたので、間違って隣の部
屋のドアーをあけてしまったら、別の団体がおられた。自分達だけではなく日本人の団
体は、晩はここに来ていることがわかった。
私はこのカラオケに4回参加したが,退屈な時間を過ごさず助かった。
6、町並み、施設 人びとの暮らし
数年間の町並みの変化は見違えるほどだと、以前に来られた方が言われた。
10年前に来たことがあると言う方は、町全体が明るくなり、きれいになり別のところに来たようだと言う。地下鉄の駅もうす暗かったが、新調したように明るく電気が十分足りてきていると言う
感じがするといわれた。以前はよく停電していたと言う。
観光施設も手が加えられ、他国の観光地に引けを取らないし、朝鮮・韓国歴史ドラマの中心舞台は北朝鮮に多く、日本との関係も深く興味深く宮殿などを見ることが出来た。
子ども宮殿は、ぜひ日本にもほしい施設だ。子どもたちには最高のものを与える、という考えが徹底しており、スポーツ・芸術、音楽、舞踊、等など日本で言う英才教育の場がすべての子ど
もに開かれていると感じた。勿論使用料は無料である。指導員も多くきちっと指導してくれる。
大学の図書館にもいったが、日本の図書館が最近どうなっているのかしらない私にとっては比べようがないが、広く大きく立派なものだった。
医療の現場には行けなかったが、漢方の研究などは中国と同様世界水準だと聞いてい
る。私たちの団体のある方が腹痛で休んでおられたが、医者に見てもらわれたのか聞いていないが、帰るときは治っておられた。医療も無料である。
7、対外文化連絡協会役員との対話 ホテルの喫茶店で
北朝鮮で日本人との交流の窓口の仕事をしておられる部署は、対外文化連絡協会(対
文協)である。対文協の職員は日本語が堪能で、日本の国内事情にも精通している。日朝協会についてもよく知っている。
わたしは、・日朝平壌宣言について ・拉致問題について ・日朝協会の訪朝について
など率直に相手の考えを聞いてみた。公式会談ではないので正式に確認が必要だが、まとめると次のような考えだった。
今の日本政府は、すぐ変わり、約束してもきちっと守らなかったり、引継ぎがないな
ど困っており、政府の間での交流は進まないと思う。しかし 平壌宣言や拉致問題は、政府間で解決すべき事柄であり、私たちが言う立場にない。
私たちが責任を持って行うのは、民間団体の受け入れである。日本の方は、大いに来てほしい、前もって私たちと日程や、どんな話しをするか希望を聞いて出来る限り要望を受け入れて実現
させたい、「拉致」の関係者でもかまわない、と言われました。そうして、日朝協会の代表が来られるのなら、大歓迎だと言われた。私は交流できなくなった経緯もある程度知っていたので、朝鮮
側の態度が随分変わってきたのだなと思った。
案外国交回復のテーブルも運動しだいでは近づいているのかもしれないと感じた。
何よりも日本国内での運動を強めなければならないと思った。
8、 国交正常化について
最後に私は今回の訪朝で考えさせられた事は、国交正常化との関係で 第一は、私たち日本国民の自由が大変制限されているのだということを実感した事です。
第二は、身近な国なのに、日本国民に真実の報道がされていない、嘘の報道が許されているという事です。
第三は、国連に加盟している国を、国として認めず国交正常化しないという日本政府の 異常さを知ったことです。
「日韓基本条約」が結ばれた1965年とは政治情勢は大きく変化しています。同時に日朝平壌宣言が行われてもう10年を経過し、その実現が国際的にも望まれています。国交正常化交渉は、
一日も早くお互いがテーブルに着き交渉を始めるというのが時代の流れだと思います。
静岡の交流会で行われた本部の問題提起と見解は、「国家」としての要件が認められれば、どの国とも国交を結ぶのが、近代社会のルールであり、「世界人権宣言」を守る基本です。国交がな
ければ外交チャンネルでの懸案事項の話し合いによる平和的解決も望めません。人の往来が自由になれば、直接北朝鮮の様子を知ることが出来ます。農・漁業の交流、貿易の拡大、大陸へ
のルートが広がり中小企業に莫大な利益が得られ、消費者の利益にもつながります。文化、スポーツの交流も出来ます。大使館の交換で、直接情報が入ってきます。通信の自由も出来ます。
友好運動は飛躍的に発展します、と述べています。 そうして今後の展望も提起しています。私が今回訪朝して考えた事と全く一致しています。
私の訪朝報告が、日朝友好運動の発展に少しでも役立てば大変嬉しいです。