羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

造化にしたがひ造化にかへれ

2006年10月15日 07時02分36秒 | Weblog
……百骸九竅の中に物有り。かりに名付けて風羅坊といふ。誠にうすものゝかぜに破れやすからん事をいふにやあらむ。かれ狂句を好むこと久し……
芭蕉「笈の小文」の冒頭である。注:読み「百骸九竅」ヒャクガイキュウキョウ

庶民の卑賤な遊芸とみなされていた俳諧への通念を打ち破って、世界でいちばん短い詩の世界を風雅に生きとおした芭蕉。

「僧にあらず俗にあらず」

……今朝、蔵の扉をあけ、二階にあがり、棚から抜き刷りの冊子を取り出した。

●「芭蕉における詩と実存」魚住孝至著・実存思想論集Ⅹ「詩と実存」1995年実存思想協会編である。

実は、ジュニア新書のはじめに、芭蕉の句を載せてしまった。ゲラ校正を始めて、
この冊子をいただいてあったことを夢に見た。
身体を語るにふさわしい句と思えたからだ。

  旧里や臍の緒に泣くとしの暮

   注:読み「旧里」ふるさと。「臍の緒」ほそ(ぞ)のお。

因みに、「造化」とは、天地万物をつくったと考えられる造物主。天地。宇宙。
「笈(おい)の小文」の「笈」とは、修験者(しゅげんしゃ)や行脚僧(あんぎゃそう)などが、仏具・衣類・食器などを入れて背負う、あしつきの箱。
*義経をかばう弁慶が空勧進帳を読み上げるシーンが思い出される。背負っている箱が「笈」。

そして「造化にしたがひ、造化にかへれ」を野口体操に照らして読めば「自然に貞く・自然直伝」となるとおもう。
「臍の緒に泣く」心身の動揺は、「からだに貞く」そのものを読み込んだものとおもう。

さぁ、心機一転、ここから始めたい。
コメント
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