羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

芭蕉庵史跡展望庭園にて…文明さんお先にどうぞ!

2006年10月21日 07時30分52秒 | Weblog
昨日・午後、芭蕉記念館に出かけた。
ジュニア新書に載せた芭蕉の句の表記を調べるのが主な目的だった。
「深川に芭蕉庵あり」ということで、歩いてみたかった。

この史跡展望庭園は、「芭蕉記念館」から程近い、隅田川と小名木川が接しているところにある。
遠くを望むと、清洲橋に高層ビルがシルエットを浮かび上がらせていた。
上天気でもなく、風もなく、薄曇はむしろ散策にはちょうどよい。
この「芭蕉庵史跡展望庭園」には、芭蕉像・芭蕉庵や句碑などのレリーフが配置されていた。
しかし、なんとなく違和感がある。
ひとつだけ芭蕉を偲ぶことが出来るのが、ここに載せた写真である。
これは、石段を昇って左手に江戸の絵図が扇を広げた形で塀の役目を果たしていたものを写したのだ。芭蕉が生きた時代の深川、隅田川、橋の様子等々、見渡せば往時の面影ひとつない超現代へと変貌を遂げた東京都会の風景のなかで、唯一、芭蕉庵の風情を伝えるものと思えた。当たり前なのだけれど、もう少し面影が残っていてもよさそうなのに……。
考える間もなく思わずシャッターを押して、この写真を携帯の待ち受け画面に貼り付けてしまった。

川面を見つめる芭蕉さんも、どれほど戸惑っておられることか。
「文明さんお先にどうぞ!」
野口三千三先生晩年の言葉だが、私も遅かれ早かれそう呟くようになるのかしら……。
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芭蕉を歩く~築山…肉筆はいい!

2006年10月21日 07時26分46秒 | Weblog
地下鉄都営新宿線・森下駅を降り立って新大橋方面に向かって歩き、橋の手前を左折する。しばらく行くと「江東区芭蕉記念館」がある。
この記念館のなかに図書室があって、そこで小一時間をすごした。
大学の図書館でも事足りたかもしれないが、やはり芭蕉が息をしていたその場所で、調べ物をしたかった。それは正解だった。

コピーをとってもらい、丁寧にお礼を言って庭にでた。
小さな庭園だが、芭蕉が句に詠みこんだ草木を植え込んで、丁寧に木の札に名前がしるしてある。ひとつひとつを読みながら、見ながら一歩ずつ歩みを進める。
築山はかなりの急勾配である。大きな石を中心に、大中小の石を池を渡るように按配よく配置してある。
きっと芭蕉が旅をしながら登ったであろう名跡を、象徴的に模しているに違いない。ここには小さいながら「風雅」が映しだされている。

登りきると、そこには芭蕉庵らしきものが建っている。中には芭蕉翁坐像に花と果物が供えられていた。季節柄イガのなかから栗の実が顔をのぞかせている。
灯明や線香はないけれど、なんとなく手を合わせてしまう自分に、苦笑した。

その建物から少し身をズラすと、隅田川が望める。
水量も多く、海に近づく川幅は広そうだ。
目を閉じて、空気とともに水の匂いが鼻腔の奥にたどり着くのを味わったその瞬間に、網膜に先ほど目にした芭蕉自筆文字が浮かび上がった。
「肉筆はいい!」
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