羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

羊歯植物に貞く-逆立ち-

2005年09月21日 08時53分59秒 | Weblog
 野口三千三先生の庭は、都会のなかの小さな空間でした。
 そこでは岩檜葉・鞍馬苔・竜神蔦・琉金羊歯・屋久島姫茄子等々の羊歯・蘚苔類や高山植物、初雪鬘・丁子鬘等々の蔓植物が元気に育っていました。
 水遣り・日当たりの具合、風の通り道の確保をするだけで、あとはあまり構いすぎないことが、大切だと語っておられました。栄養剤や殺虫剤・殺菌剤は、やらない方がいいというわけです。
「でも、植物を毎日見守り、手入れをしないようでいて手入れをされておられた」 と私は思います。
 庭は、放ってしまえばすぐに荒れます。僅か数坪の庭に、あれだけ多くの種類の植物が育つということは、尋常ではありません。
 
 この植物と共に暮らす場が、野口体操の動きの原理を考える場であったと、先生は語っておられました。
 なかでも羊歯類が芽吹き葉を広げていく軌跡は、野口体操にとって動きの基本原理そのものです。
「上体のぶらさげ」や「野口流ヨガの逆立ち」は、「羊歯植物に貞く」世界です。 
 
 先日、60歳代の方からのコメントを戴きました。この場を借りてエールをお送りしたい。
 力がぬけてまっすぐ(地球の中心方向・鉛直方向)の方向をつかむことができれば、「立つべくして立つ」逆立ちは、できるようになる可能性はあります。
 言ってみれば、野口体操の逆立ちは「ほぐれの極み逆立ち」です。 
 手で立つ逆立ちもヨガの逆立ちも、繰り返しますが「まっすぐ」にのびのび伸びることが求められます。
 「地球につながる野口体操」という表現は精神論ではなく、からだの実感を表わしたものです。

 野口庭が自然と人口が渾然一体となった微妙なバランスのうえに成り立っているように、野口体操の逆立ちも、ひとり一人のからだの内側の生態系が、微妙なバランスでつりあったとき、すっきりと気持ちのいい在り方で「立つべくして立つ」ことができることを野口先生はおっしゃりたかったのだと……。

コメント (1)
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