ふいご と聞いてまず思い出すのは、小学校で習った「村の鍛冶屋」の歌です。♪ しばしも休まず鎚打つ響~き 飛び散る火花や 走る湯玉 ふいご の風さえ息をもつか~ず 仕事に精出す村の鍛冶屋 ♪
岩間の天正宮で「常陸の國鞴祭」がある、と聞いて興味をそそられ、友人二人を誘って愛車で出掛けました。
「鞴祭」は鞴を使用する鍛冶師や鋳物師・金属加工の匠たちによって、旧暦11月7日、祖神のご加護に感謝し、一門の繁栄と火防除(ひふせぎ)、五穀豊穣を祈願する行事でした。
7年前から設立された「常陸の國鞴祭実行委員会」では、鞴があまり使用されなくなった今日、「鞴祭」の行事が著しく衰退してしまったことを憂い、伝統習慣に培われた心情を後世に伝えたいとの思いから「常陸の國鞴祭」という形にかえて再興することになりました。
茅葺の天正宮公誠殿の境内に、箱型の鞴や水桶、などが配置され、雅楽が流れる中、古式ゆかしい装束の方々が粛々と入場されて、静かな興奮が広がりました。
まず、鍛冶場での作業が儀式化されて演じられました。神への崇敬と道具への敬愛が表現された様式美・・心奪われる思いで見入りました。
続いて鞴や諸道具が祓われました。参列の私たちも祓ってもらってから、用意された榊を奉納させてもらいました。
沢山の蜜柑が奉納されたのには驚きました。紀伊国屋文左衛門の時代から、鞴祭には蜜柑が欠かせないのだそうです。
蜜柑は儀式終了後に、参列者に撒かれました。私たちも有難く戴きました。
天正宮の境内には 岩間富士 があります。各地にみられる富士塚の類ではありますが、この岩間富士は、本当の富士山の溶岩(現在は持出し禁止)を運んできて造られたもので、規模も日本一だそうです。
用意されていた白装束を羽織らせてもらって、私たちも岩間富士に登りました。溶岩は苔むしていて、登山道には趣き深い石碑が数多く設えられ、難所!もあって、頂上に到達したときは達成感がありました。
無事に下山したら、「岩間のお富士さん実行委員会」の登拝認定書を交付してくださいました。
鞴祭も岩間富士も、並々ならぬ知恵と熱意、そして相当の資金と労力がなければ出来ないことです。聞けば、鞴祭の装束も各自の出費によって拵えたものとのこと。関係する方々の、文化継承への志に感慨を深くして、帰庵しました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます