みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

石岡の雛祭

2013-02-24 19:45:32 | 俳句

俳句の会の吟行で、石岡駅近くの商店街の雛祭を訪ねました。この種の雛祭は今や全国各地で催されていて、茨城県内で特に人気の真壁は、多くの見物客で賑わっています。でも石岡は閑散として北風が吹き抜けるばかり・・ とはいえ拝見させてもらったお雛様たちは、なかなか味わい深いものでした。

Dscn3190「まちかど情報センター」には、源氏物語の浮舟にちなんで創作された雛人形たちが飾られていました。浮舟は幼少時代から娘時代を常陸國で過ごした、とか。なかなかの力作です。Dscn3193
にもかかわらず、心を動かされる雰囲気に乏しく、鼻白む感じがする原因は、公共的な事業の体臭のようなものでしょうか。

駄菓子屋さんのお雛様は、深々とお辞儀する福助人形の隣に並べられていました。多種多様の安価な駄菓子がぎっしり陳列されている棚上の壁面には、ガガーリン(人類初の宇宙飛行士)の名が記された額や、祭の「年番」を証する棒状の木札?や、マリリンモンローの写真まで飾ってあります。餡入りの「さくら菓子」350円を一袋買ったら、鉄砲玉(飴)を5個もサービスしてくれました。

   駄菓子屋にモンローポスター山笑ふ

Dscn3207荒物屋さんのお雛様は、明治時代初期に製作された江戸雛。女雛の冠は特に迫力があります。1929年(昭和4年)の石岡大火をも潜り抜けて、石倉の奥に10センチほどの埃を被っていた長持の中に何が入っているのか、店主も知らなかったそうです。7年前に商店街で雛祭が企画されたとき、世話役に勧められて開けてみたら、このお雛様たちが現れた、とのこと。それ以来、店主は商売そっちのけで? お雛様にぞっこん惚れ込んでしまった御様子。店のかっての「奉公人」を訪ねて当時の様子を聞いたり、「吉徳」や「久月」の学芸員に教えを乞うたり、お雛様の美術書を購入したり。次から次に展開する興味深いお話は、悲哀と諧謔の香りも纏っているようでした。

           商はず古雛自慢三代目