みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

危機の増幅と緩和

2013-02-10 10:21:25 | 社会

中国や北朝鮮の一党独裁の弊害や偏向報道は、紛れもない事実だと私も思います。しかし翻ってみて私たちの国はどうでしょうか? 

国権の最高機関たる国会は、ほぼ大政翼賛会と化しました。NHKはもちろんマスコミ各社の報道は、日ごとに大本営発表の色彩を濃くしています。

にも拘らず、私たちの国は自由で民主的な体制にある、マスコミは事実を報道している、という思い込みに呪縛されている人々が、この国には増えるばかりです。マインドコントロールされて、人々は自らその悲劇性を濃くすることに快感を見出しているかのようです。

Dscn3164中国海軍による自衛隊へのレーダー照射を日本が指摘したことについて、中国が「事実ではない」と否定しました。マスコミは、事実を認めない中国への非難を強めて、世間の多くの人々も反中感情を増幅させているようです。

しかし、レーダー照射の事実を中国が公式に認めた場合、事態はどうなるか、想像してほしいと思います。それは、中国が日本へ軍事的に敵対していることを公式に認めたことになるでしょう。そのことによって、日本国内の反中感情は一段と激化し、中国への軍事的攻撃体制への傾斜を加速させるでしょう。

レーダー照射が事実だとしても(たぶん事実でしょうけれども、疑ってみる必要はあります。また、レーダー照射は異例の事態だけれども、今回が初めての出来事だとは日本側も明言しておらず、これまでも事実としてあったが、外交上の配慮から公表してこなかった可能性もあります。)、嘘も方便です。中国がこの事実を否定したのは、中国にとっても日本にとっても世界にとっても、賢い選択だったと思います。それは戦争の危機の増幅を多少なりとも緩和させたのですから。

そもそも今回の一連の「危機」は、日本側の、石原慎太郎の尖閣都有地化発言と国有化を端緒としていることを、忘れてはなりません。

日本は、世界に誇るべき平和外交の原点を取り戻してほしいと思うのですが、ないものねだり、でしょうか・・・