極端。

2020-12-19 20:09:29 | Weblog

 

何故「逆ねじ」と「両ねじ」の両方に翻弄される身になったか?といえば

僕が「世を忍ぶ仮の姿」として、

今は運送業界に身を置いていて、以前・・・8年くらい前までは

時計業界の端っこに身を置いていたからである。

 

「両ねじ」は、時計世界の出来事で、

「逆ねじ」は、トラック業界の出来事である。

 

わりに、極端な転職をしたのだ。「世を忍ぶ仮の姿」とは言え。

そのせいで、面白い体験をしたと思っている。

 

そのことを思い出したので、今日はそれを。

 

 

 

西暦2001年ごろから、時計業界に入った。

店頭で販売する立場だったのだが、検品もするし、サイズ調整もする。簡単な修理もする。電池交換もする。

 

高額な時計を多数、扱っていたので検品は、ほんの小さな小さな、0,1ミリ程度の傷でも

見逃してはいけない。見逃したら、責任問題になってしまう。

そういう世界に、10年ほどいた後、大型免許を取って、

ダンプ運転手になった。トラック業界に転身したのだ。

 

ダンプ運転手になってまだ初期の頃、とある仕事で、

10トントラックにいっぱいの土砂を運ぶ、一番よくあるダンプの現場行った。

積みの現場で土砂を積み、降ろす現場まで行ったらそこは何もない、ただの広い空き地で、

現場にいたおっちゃんに僕は尋ねた。

「この土砂、何処に降ろしたらいいんスか?」と。

おっちゃんは言った、「その辺適当に、どこでもエエわ」と。

だだっ広い空き地である。

何て・・・何て大雑把な仕事なんだ、と僕は感動した。

 

そのつい何か月か前まで、ほんの0,1ミリの傷に右往左往していた同一人物が今日は

10トンもの土砂を「どこでもエエわ」と言われている。

 

0,1ミリと10トンの対比。

 

その現場の仕事は5台くらいのダンプでやっていたのだけれど、

朝から始めて、夕方には僕は「ああ、そうか」と納得していた。

その空き地だったところには小ぶりだが確かな「山」が出現していたのだ、何往復もした我々の手によって。

こうなることを知っていたのなら、初めの「一杯」など、そりゃ「どこでもエエ」よな。

 

ロレックスもカルティエも、クソ喰らえ・・・・ではない、「土砂喰らえ」だわよ。

 

ははは。

 

 

とは言え後になって、

トラックの運転は精緻を極める・・と言うような部分もある、とわかってきた。

 

ほんの数センチの間隔で大型トラックと大型トラックがとんでもなく狭い道ですれ違う。

ほんのちょっとハンドル操作を誤れば大事故につながる。

 

 

だから僕は、0,1ミリの傷に右往左往するのと同じ気持ちで、

巨大な(と言っても今は4トン車だが)クルマをまるで

「ハウルの動く城」のごとくに、

0,1ミリのペン先でイラストに「ペン入れ」をするように、

レコーディング現場でミックスダウンをする時のように、

繊細に、丁寧に、運転しよう・・・・と心に誓うのであった。

 

 

僕は、世にも珍しい(そうでもないかな?)、

「時計修理技能士3級の免許を持っているトラック運転手」なのだ。

 

 

ま、3級は大したことないんだけど。

 

あ、そして本職はバンドマンなのだソングライターなのだ、ミュージッシャンなのだ

(それを言うのを忘れてどうする俺?)。

 

 

 

 

 

ところでこのブログのタイトル、始めたときの思い付きでこんなのにしたのだが

・・・・・・・・・・・・・・・・今となっては微妙。

 

 

ブレーキは大事だ、と切に思う。

コメント (2)
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