まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

「行こう、この先へ。」崖っぷちからの勝利~クライマックスシリーズ第2戦観戦記

2014年10月13日 | プロ野球(バファローズ・NPB)
クライマックスシリーズ・ファーストステージの第2戦である。前日の第1戦を落としたバファローズは苦しい展開で、負ければその時点で終わり。「リベンジ10・2」ということで福岡でホークスを倒すどころか、ファイターズに足元をすくわれる形になってしまう。

そんな中での第2戦。この試合は必ず行こうと、順位が決まる前に予約していた。そして今回、やはり重要な試合となるとこの人と一緒にということで、野球と旅行と酒の大先輩である鈍な支障さんをお誘いする。クライマックスシリーズでは普段の公式戦とは違った座席区分となっており、いつも観戦ポイントとしている内野上段席も、通常なら自由席のところ、シリーズについては中央よりは座席指定となっている。おまけに、前売りでも座席の指定はできず、またチケットの受け取りも「ローソン クライマックスシリーズ」とうたっているのに、セブンイレブンでしか受け取れないという有様。それはさておき、事前発券で入手したのは、普段観戦しているよりもバックネット寄り。このエリアだと他球場なら結構なお値段がするが、そこは大正ドーム価格で、ファンクラブ前売料金で1600円。

座席指定ならゆっくりと行けばいいのだろうが、そこはやはり早くから出かけてしまう。いつもの、内野自由席の入場口から入ることになるが、公式戦よりも客の出足は早い。ゲート前のエリアは人で埋まる。後で合流した鈍な支障さんも、私を探すのに結構手間取った。

普段の公式戦は入場してもどこかまったりした雰囲気があるのだが、さすがポストシーズンとなると異様な雰囲気である。何だか空気が違うというのかなあ。その中で両チームの練習を見るが、日本ハム側が陽、中田も快音と飛ばしているし、前日投手として先発出場した大谷もティー打撃をこなしている。その一方でオリックス側のアップから守備練習を見るが、選手層の薄さを感じる。ペーニャも糸井もヘルマンもいない。前日ペーニャが出なかったのは故障のためとのことで、出場選手も抹消されたという(これで、仮にファイナルステージに進出しても日数の関係で出場できないとのこと)。糸井が故障なのは仕方ないが、ヘルマンも欠場とは??練習では三塁には縞田一人。先発起用となると、いよいよ攻撃が弱いものになる。こうして見ると、選手層の厚さで見れば、日本ハムのほうが一枚上手ではないかと感じた。バファローズ・・・正直、野手は薄い。采配の可否は別として、前日の試合で安達を5番で起用せざるを得なかったのが層の薄さを物語っていると言える。

先発メンバーの発表。4番には前日と同じくT-岡田が入る。三塁にはヘルマンがちゃんと出てきて、7番での起用となる。安達も2番起用で、やはりこの辺りが適格な打順であろう。

この日はバームクーヘンで有名な「マダムシンコ」の冠試合ということで、来場者抽選プレゼントもマダムシンコ絡みだし、挙句始球式もマダム信子氏が務めた。クライマックスシリーズであるが、ドーム外の入場券売り場ではそのロゴはなく、「マダムシンコデー」の看板が大々的に飾られ、特設の販売ブースも出ていた。シーズンのスポンサーだし、冠試合だから仕方ないのだろうが、どこか違和感を覚える。

さて試合。オリックス先発は、日本ハムとは今季4勝1敗のディクソン。以前拙ブログで、「この投手が優勝のカギを握る」と書いたことがある。勝ち越せばそれだけ優勝に近づくが、負け越すようなことがあればしんどいと。公式戦の結果は9勝10敗と1つの負け越し。別にディクソン一人がどうのこうのというわけではないが、これが10勝9敗だったらなあ・・・と振り返るばかりである。

そのディクソン、初回に先頭の西川にヒットを許し、続く中島のバントでピンチを迎える。陽は三振に打ち取ったが中田に四球。そして小谷野のライトへの当たり。ライトの川端が追いついたかに見えたが、ゴルフで言うスライス気味の打球でボールが流れたのか、川端のグラブをはじく。これが二塁打となり日本ハムが2点先制。いきなり、この2点が重くのしかかった。

日本ハムの先発は上沢。怖いものなしでどんどんと投げ込んでくる。時折混ざる緩いボールが厄介だ。初回、3人の打者に対して10球で3アウトを取ったのに始まる。おまけにこの日トップに入った平野恵も走塁時に故障してベンチに下がる。ますます、選手がいなくなる。それもあってか上沢は序盤から好投を見せる。気づけば5回裏終了まで一人のランナーも出さない。オリックスの打者もたまにいい当たりが出るが、それが野手の正面を突いたりと不運な面もある。このまま2対0で敗れ去るのか・・・どうせなら「CS初の完全試合!」というのもありかな。中盤まで、そんな絶望的な雰囲気だった。後ろの男性客もヤケ酒が入って完全に酔っ払いモードである。

ディクソンは初回の2失点以降は粘りの投球で三振も取り、6回途中までマウンドに上がる。しかし先制打の小谷野に安打が出たところで交代。まずは比嘉が来るか、それとも左打者が続くから、意表をついて松葉か、中山か左腕を出すか。

・・・そこで出たのは、前日四球連発で乱調の佐藤達。これにはドーム内もどよめき。あえて不調の投手を、それも公式戦の順序を前倒しにして6回から出すとは。この時は続く近藤を抑えて無失点で切り抜ける。

6回裏。ここまで一人のランナーも出せなかったが、一死から駿太が四球を選んで初めての出塁。続く途中出場の伊藤はバントで二死二塁。ここで迎えるのは平野恵に替わって出場の原拓也。ここでセンター前の当たりが出る。チームの初安打がタイムリーとなり、2対1と追いすがる。

これで追い上げムードとなり、7回表を迎えたところでやれやれとトイレに立つ。するとその中で通路からため息が聞こえてくる。席に戻ると、ミランダが「打った瞬間にそれとわかる」特大の本塁打を放ったとのこと。せっかくの1点差が遠のく3対1。それも打たれたのが佐藤ということで、確かに最優秀中継ぎ投手であるが、前日といいこの日といい、思いっきり不安な面を露呈したところである。佐藤はその後もヒットと敬遠気味の死球で一死満塁とされ、陽を迎えたところで比嘉に交代。

それやったら最初から比嘉でよかったのではと思うが、ランナーを背負った場面で文字通りの「火消し」ができるのは比嘉しかいないというのも事実。今年のブルペン陣は充実とか言われているが、その多くは最初から予定されたイニングの頭から出てくるものではないだろうか。比嘉はここで陽、中田を連続三振に取り、スタンド全体の雰囲気も盛り上がってきた。

これが追い風となったのが7回裏。二死二・三塁のチャンスを迎えて上沢をマウンドから降ろす。ここでヘルマンが、代わったばかりのクロッタから左中間への大きな当たりを放つ。2者が生還し、一気に3対3の同点となる。これまでイライラ感が充満していたスタンドからも大きな歓声が上がり、私を含め周りの観客もハイタッチを交わしていた。

ただ、これでは終わらない。8回表、4人目の馬原が一死一・二塁とされて、迎えるのは代打・稲葉。今季限りでの引退を表明してはいるが、クライマックスシリーズ、果ては日本シリーズまではまだ現役である。「ここで出塁する、いや外野まで打球が飛んで得点につながるかな」「それがつながるのが、スターのスター選手たる所以ではないのかなと思う。

・・・で、その予感は当たってしまう。センター前への当たりを放つ。センターの駿太も懸命のバックホームを試みるが、ボールも逸れて二塁ナンナーの生還を許す。これで4対3と日本ハムが勝ち越しに成功する。日本ハムベンチの盛り上がりも最高だし、勝ち進むというのがいかに厳しいものであるかというのを突き付けられる。現在のバファローズの控え層から見て、こういう時に「この一発で流れを変えてしまう」という選手がいないのも現実である。正直、ここでさすがに敗戦、クライマックス敗退を覚悟した。

そんな8回裏。一死から原が四球で出塁。その後二死二・三塁となり打席には糸井。ただここで日本ハムバッテリーは計算通り敬遠で歩かせる。迎えるのはここまで上沢の前に3三振のT-岡田。

「これ、彼の今後の野球人生を左右する打席になるでしょうね」と私。ここであっさり凡退しようものなら、この試合の結果はほぼ決まる。そうなるとクライマックスのファーストステージで敗退だし、T-岡田についても「ハートの弱い、ここ一番で打てない元本塁打王」のレッテルを張られる。それを払拭するには・・・。

その瞬間、豪快な当たりが飛び出した。打った瞬間にそれとわかるライトへの当たり。一気に6対3と逆転する。もう、周りの人たちともタッチしまくり。私の目にも涙が浮かんだ。野球観戦の中で涙を浮かべたのはいつ以来だろうか。

最後は平野佳が締めて、見事な逆転勝ち。これでスタンドのボルテージも最高潮に達した。

これで福岡に行けるかどうか、泣いても笑っても残り1試合である。一時は崖っぷちに追い込まれたが、まだまだ望みはある。私は現地観戦ができないのだが、大正ドームでの試合活動を予定されている方には、力の限り応援していただきたいものである・・・・。









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