最高の舞台だった

2018年09月03日 08時24分33秒 | オペラに挑戦
4公演、5作目の「愛の妙薬」 楽しく、ほんとに楽しくオペラしました。自分でも最高です。これはですね、これまでの4作品は悲劇で誰か死ぬんですね。だからどうしても暗い話になる。一方「愛妙」はハッピーエンドの喜劇。だから演ずる方も明るい気分でやれるよね。舞台でオペラなんて考える人って根は明るいんだと思う。そういう人には喜劇でしょう。「水を得た魚」っていうんかな。また演出のヒロ(先生の愛称)が自由にやらせてくれたこと、むしろ「自分で作れ」と教えたこと、それが大かったんじゃないか。 いや~、オペラってほんとにいいものですね。

公演がよかった、僕はやりながら感動してたって話はこのくらいにして、僕のもう一つの成功話をしましょう。
僕はいい舞台を作る事とは別にある仕掛けを用意してこの公演に臨んでました。ヒロが「イタリアにかぶれろ」と言い続けたこと、それとこれは終了後の納会でくしくもマエストロが教えてくれたんだけど「舞台上とオケが作るんじゃない、観客も巻き込んで作るのがオペラだ」、まさにこれです。
「オペラって高尚なもの、観るにもなんかお堅いマナーのようなものがあって、上品に観賞するもの」という日本人が持ってる常識にこの座間の田舎で「風穴」を開けてみたい。そして座間オペラがほんとに庶民感覚のオペラに発展することを狙って、さて何をやったでしょう。
「素敵なアリアに感動したなら、劇中でもアンコールしていいんだ」の目覚め、庶民感覚、オペラの楽しみ方を感じて欲しかったのです。そこでこの「愛妙」で一番有名なアリア(ネモリーノが歌う「人知れぬ涙」)が歌われた後、客席から「アンコール」を叫んでやろうと計画したんです。
このアリアが歌われる前後僕は暇してます。衣装をなるべく簡素にし、こっそり1階客席の最後列に立ち見で侵入、その時を待ちました。待ってる本人が素敵なアリアにうっとりしてたんですが。ネモリーノが歌い終わりました、拍手、ブラーボが聞こえてきます、その中へ「アンコール」を4,5回叫んだのです。こう言っちゃなんですが、僕の声(特に昨日は発声練習十分ですからね)あの会場を地声で一杯にするくらいの力ありますよ。日頃SCで腹筋も鍛たえてるからね。会場はもちろん、舞台裏の合唱団員にも聞こえたはず。
さてその効果はですが? 結果的にはアンコールされませんでした。でも失敗とは思ってません。こうなるだろうは想定内。いいんです。会場にいらっしゃった方たちに、「えっこんな希望出していいの? こんなに叫んでいいの?」が伝われば。「クスっ」との笑いがもれれば。それだけの効果はあったと確信してるんです。「ローマは1日にして成らず」ですよ。
アンコールされず、先のメロディーが流れた時に1%の敗北感を心に、客席をでました。舞台裏に戻って、待機してる団員から「おっ客席で聞いたのかよ」と言われた時、「おれはやってきたんだ」の思いでみたされましたね。
そして納会の時、ネモリーノ役の藤牧さんにマイクが渡り、一通り話してくれたあと、周りから「あのアンコールは気持ちよかったでしょう?」の質問が。こうなって、司会やってる僕にマイクが戻ってくればネタ晴らしするしかないですね。ヒロから「えっそうだったの?」。みんなからも驚きだと思うけど(軽蔑はなかったと思うが)、つよい反応があった。悪くは思ってないでしょう。藤牧さんも気持ち悪かったとは言ってないし。
ここでマエストロと藤牧さんがいろいろ解説してくれた。オペラの中でのアンコール、これは事前じ想定して決めておかないとその場でとっさにはちょっと難しいようです。技術的にというより、芸術的にが強いらしいですが。特にマエストロの粂原さんはオペラでのアンコールには否定的でしたね。さらに愛妙におけるあのアリアの音楽的分析を解説してくれたんですが、音楽的感情(リズム、テンポ)が変わる要素があるんですって。その意味ではあそこのアンコールはあってはいけないくらいに考えてるとの話でした。僕には解りません。でも聞きたいものは聞きたい、そんな庶民でありたいな。

長くなるからこの辺にしよう。 要するに「大」が3つ4つ付く満足な舞台でした。
「平手打ち食らう」場面も皆さん見てくれたようだ。うん、ここも成功だな。舞台には眼鏡をかけないで上がります。あの時代こんな眼鏡なかったと思うから。それと今回は麦わら帽子をずーっとかぶってたせいだろうが、お客さんでぼくを見つけられなかったという方がいました。僕の存在も薄れてたってこと、これは周りもしっかり動いてたということで全体としての成功でしょう。かみさんからいわれたのは「ポーズが良くない」でした。ここは要勉強ですね。イタリアに行って、粋なおじさんのポーズを研究してくるしかないかな。
来年は「トスカ」だ。 またやるぞ。

最後にヒロへの色紙に書いた僕の一言
  「やれるだけやった。やりたいだけやった。こんなにかぶれてる奴がいるんだから」

ここからは備忘録
 「コバやん 練習動画」 「ノヴェッラの人力」 「ヒロの感動」 「色紙とワイン」
 「来てくれた大勢の関係者」 「本物の役者みたいにたくさんもらった差し入れ」
 「ホールの関係者と距離が多いに近くなった」

観に来て頂いた友人、知人、関係者のみなさん ありがとうございました。来年も来てください。
コメント (7)
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