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じゃりん子チエ/高畑勲監督
面白いと言えば面白い感じもするのだが、面白くないと言えばそんな感じもしないではない。そういう不思議な感じの面白さということなのかもしれない。チエが本当に不幸なのかも良く分からないが、不幸といえば不幸なのかもしれない。子供なりにたくましく生きているが、それは周りの大人が子供過ぎるからという気がしないではない。子供が子供を持つとこういうことになるという見本のようなお話だが、しかしそれを僕が言っても何の説得力も無い気がする。つまり、こういう現実というのはあんがい普通にありそうな気がしないではない。いや、普通ではないが、もう少し子供がグレるくらいの違いしかないのではなかろうか。さらにこういう猫もいないではあろうけど。
大阪の人たちという不思議さも面白さの一つだが、みんな子供のまま大人になると、単なるヤクザ的な世界になってしまうのが、大阪らしさなのだろうか。いろいろいざこざがあるが、しかし漫画なので本当には悲惨では無い。本当のヤクザらしき人も急にしおらしくなってしまうし、そのあたりになると漫画よりありえない世界という感じもする。リアルな世界では無いからそれでいいのだけれど、この世界観こそこの漫画の良さという感じだ。古い日本の社会の話でありながら、かなり特殊なローカル性。浪花節の生きている世界。恥ずかしくなるくらいな感じが、漫画としてちょうどいいということかもしれない。
アニメーションの名作とされているが、あたりまえだが基本的には漫画の世界の踏襲である。アニメとして本当にいい話なのかは少し疑問だが、お笑いの役者さん達が、何となく素人くさく声で出演している感じは、アニメとしては良いところかもしれない。
そういえば名作だから観てみようと思って観た訳だが、やはり僕には古過ぎるお話かもしれない。観だして思い出したけれど、これは漫画で(全部では無かったようだが)見たことがあったようだ。読んでないと思っていたのはどうしてだろう。僕にとって忘れたかった過去だとでもいうのだろうか。