カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

恐ろし気なそれらしきサイコスリラー   ナイトメア・アリー

2024-08-14 | 映画

ナイトメア・アリー/ギレルモ・デル・トロ監督

 見世物小屋に流れ着いた男は、いろいろあってそこで働くことになる。手品の助手のようなことをしているときに、相手の心を読む手品の技術を会得する。また、見世物小屋で伝記のマジックを扱う女性とも恋仲になる。数年後、彼らは独立し、霊媒まがいのトリックを使うショーで活躍するようになっている。そうしてそこで金持ちなどから信用を得て、さらに金を稼ぐ道を見つけていく。ある時、心理学者とその知り合いの大富豪の、関連のある死んだ女性の霊媒に挑むことになる。もちろんインチキなのだが、うまく行くと大金を手にできる。綿密な計画を立てて事を成し遂げるように画策していくのだったが……。
 そもそもの映像がおどろおどろしいものがあって、ずっと危うい空気感で物語が展開していく。その怪しさこそがこの監督の作風であり、魅力でもある訳だ。なんだか気持ちの悪さもあるが、それこそが楽しいという人向きである。気持ちは悪いが、実際に本当に恐ろし気なホラー映画では無いので、トラウマになるような恐怖体験をするわけではない。適度に、まるで陳腐な見世物小屋の出し物を観るがごとく、映画を鑑賞するということである。まさに映画設定と、状況がマッチしている。製作人や監督さんたちは、そういう意味では素直なのである。
 展開は複雑で、なかなかに入り組んでいて、裏切りや暴力が続いていく。主人公の男は、それらの荒波を上手く乗りこなしているように見えるが、そうではないかもしれない。何しろ終始嫌な予感に包まれていて、そうしてやはり意外な展開が待っている。基本的には悪夢を見ているようなことになっていく。
 演技合戦にもなっていて、主人公のブラットリー・クーパーはもちろん、ケイト・ブランシェットなど芸達者な人たちが、その恐ろし気な人物を重厚的に演じている。西洋人は、こういういかにも、という演技合戦が好きなような気がする。ある意味大げさなのだが、それがまた、彼ら彼女らには、見事に合っているのである。まあ日本の俳優も、人気のあるのは多少オーバーアクトの似合う人たちであるので、人々の欲求というものは共通のものがあるのかもしれない。まるで見世物小屋を覗きたくなるように……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする