カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

高いところが好きな人は是非   フォール

2024-08-06 | 映画

フォール/スコット・マン監督

 フリークライミングの事故で夫を亡くした女性は、悲しみのあまり酒におぼれ立ち直れないでいる。そんな中事件当時からのフリークライマー仲間の女性から、撤去される予定の600メートルの鉄塔に上る冒険のチャレンジを提案される。そこまで乗り気ではなかったが、熱心に励まされ、一緒に挑戦することにする。そうして動画配信しながら鉄塔のてっぺんに上り詰めるが、老朽化した梯子はもろくも崩れ落ちて、降りられなくなってしまうのだった。
 とにかくこの危機状態からどうすんの? っていう映画なんだが、それだけの設定なのに、それなりにドラマ展開がみられるという映画でもある。高いところが苦手な人には、ちょっと見続けるのが無理そうなことは間違いない。しかしながら僕は苦手だが、それなりに平気で観ることができた。何故なら落ちるなら主人公は二人な訳だし、それで終わるはずだという達観めいたものが、観ていて生まれてきたから。まあ、そうなんだけど、そういう終わり方をしない仕掛けがあるんで、お楽しみに。それでもまあ日本人的な視点からいうと、これだけ世間的に迷惑をかけたら、さらに落ち込んで死にたくなるんではなかろうかと、心配にはなるところだが……(心配しないでも、そんな神経の人たちではない)。
 なんでこれほど高い塔で、なおかつ華奢な作りなんだろうかと疑問には思う。廻りは砂漠のような何にもないところなので、電波を飛ばすために高さが必要なのかもしれないし、予算の都合もあるので必要最小限の作りなのかもしれない。さらに老朽化したので取り壊される予定がある訳で、そういうところを選んだ主人公たちの行動が、原初的には非常に問題がある。さらに彼女らは少しふざけていて、あえてはしごを壊したような行為も見られる。要するに馬鹿なのである。僕は何度も書いているが、人間的なバカに同情を寄せることが、どうしてもできない。悲しみのある巻き込まれた系の女性は気の毒ではあるが、そもそも温かい見守りのある父親を、なんとなく裏切っている感じもする(許してくれるが)。こういうのもやはり、同情の余地が少ない罪を背負っている気もする。厳しい見方かもしれないが、こういう友人とはもっと早くに手を切るべきだったのだ。
 それにしてもやっと発見してくれる人間もクズだし、つまるところ解決策が人に頼らなければならないところも冒険家らしくない。いちおうロープはある訳で、何か他に使いようがあったのではないかとも思われた。装備が足りないのである。もっともそれは予定外だったのだろうけれど。鉄塔の上という限られた場所なので、舞台劇でも行けるかもしれない。もっともリアルだと、やはり危険かもしれないのだが。それに観客も見上げる場面が続くと、首が痛くなるかもしれない。そういう事で、やはり映画的な設定ということになるのであろう。
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