カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

気取ったジャズで無く、泥臭くドライ   ラウンド・ミッドナイト

2017-07-20 | 映画

ラウンド・ミッドナイト/ベルトラン・タヴェルニエ監督

 50年代のパリ。ジャズを巡る友情映画。名演奏で鳴らすサックス奏者のデイルは、しかし酒に溺れてしまうタイプのようだ。見かねて一ファンであるが、その演奏に心底惚れてしまった男が援助する。しかしこの男もそんなに金を持っている訳では無い。金は無いが無理に援助し、そうして夜になるとその演奏を楽しみたくて仕方がない。このままではラチがあかないので、サック奏者はアメリカに渡ることにするのだが(もちろん援助を受けて)…。
 お話の筋で引っ張っていくようなものでは無い。名演奏と、その演奏される店や時代の雰囲気を味わう映画かもしれない。かといって、やっぱり演奏をライブで楽しむというものでも無く、ミュージック・クリップでもない。やっぱりそこは映画なのだ。
 ジャズの魅力は今一つ分からないのだが、この映画のジャズ世界は、確かになかなか魅力的だ。演奏される曲は渋いし、じわじわ盛り上がるのは確かだ。客も奏者も、一体になって楽しんでいるのがよく伝わる。酒におぼれている姿は褒められたものでは無いが、それすら、やはり音楽のスタイルとして、何とも馴染んでいる。そういう生活自体が、ジャズ的というかなんというか。
 麻薬のようにのめり込む世界が、そういう快楽が、音楽にはある。魔力だが、しかしそれを一定の距離がありながら、親しく映像化している。人々は必ずしもスタイリッシュでカッコいいとは言えない人々なのに、しかしジャズをやっているとたまらなくカッコよくなるのだ。まったく人間は面白いものだな、と思う訳である。
コメント
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