パリのビルの屋上で養蜂をやっているというのを見た。ビルの上の再活用というのだろうか。理由はいろいろあって、しかし養蜂は特に都合がいいのだとか。
ビルが建っている場所は都市部だから、なんだか勝手に意外な気がするのかもしれないが、蜂にとっては、特にいい場所だという。都市部にはあんがい花がたくさんあるのかもしれない。それもそうだが、蜂自体の健康状態がいいのだという。田舎の蜂より体調がいいというのはどういうことか。まず、環境がいいというのがあるらしい。外敵が少ないのがいいという。他の競合相手が少なく、独占度が高いというのもいいらしい。もともと棲んでいる自然環境で無いところから連れてこられたにもかかわらず、蜂にとっては理想郷になっているということだろうか。
すぐに人間のことも考えてしまうが、都市部の人間と田舎の人間の健康比較はどうなのか。あんがい都市部に住む方が、健康度は高いかもしれない。僕の場合は出張で行くが、車をあんまり使わないのでよく歩くようになる。そういうところは健康的には思える。
しかしながら、蜂には競合相手や天敵問題が一番の要因とあるが、人間の場合は人間の都合で都市をつくる。都市部は、ある種の行う仕事の効率化でそうなっている。しかしながら、いくら社会性の高い生物である人間だからといって、あんまり集まりすぎている場合はどうなのか。ストレスの問題もあるし、効率重視は、やはり健康的に思えない。人間には、もっと適度のようなところを考える必要があるんじゃなかろうか。経済活動をやらなければならないというのはあるが、インフラを集中させて効率化というのは、その中の人にとっては、少し無理を強いられる気もする。
蜂にとっては、大自然の方が環境的に厳しいということだろう。人間にとっても、その大自然で生きることは困難そうだ。だから都市部は、人間の住みやすい環境を作っているともいえる。棲み分けて、あまり人間が近寄らないから、自然は残っているのかもしれない。そうしてむしろ人間が住めない極地でしか、本当の野生が残っているとはいえなくなっているかもしれない。
人間を都市に押し込めることで、他の生き物がハッピーになるかもしれない。都市化は人間の効率化だが、そこから出られない人を自ら作ることも、大きな視点でみると、棲み分けでお互いの為になっているかもしれない。