カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

利休

2011-10-07 | 映画
利休/勅使河原浩監督

 実は金がかかっているらしい。ビスコンティ映画のようなものか。
 しかしながらなんとなく病的というか、少なくとも健康的な感じがしない。照明のせいもあると思うが、人間の内面的な狂気を描こうとするあまり、どんどん病的になってしまうような気がしないではなかった。
 美しさと批評性。物事をとらえ考える姿勢。確かにアートなのだとは思うのだけれど、その時代の政治ともかかわってくるとなると、それは命懸けでもあったわけだ。自然を愛でているようでいて、限りなく人間的な悲しさのような気がするのであった。本当に自然を見ているのであれば、本来的には馬鹿らしく思えてくるものではないのか。いや、ひょっとすると利休自身は、馬鹿らしくなって自滅の道を進んだのかもしれないが…。
 現代人の眼からすると、しかしそれを美学と捉える可能性もある。そのように描いているとも考えられはするが、あくまでそれは極めて人工的な美である。美を個人的裁量で作り出すという発想そのものは、日本的であるようでいて、実は極めて西洋的な後付け思想であるようにも思えてならない。利休を現代人が見るというのは、あんがい難しい所作なのであろう。
コメント
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