長男が部活で卓球部に入った。それでその腕を披露したいらしい。しかし連休中はどこも人が多い。後半は特に雨にたたられ、室内娯楽施設は人だかりである。二日前にバッティングセンターに行くと卓球待ちで一時間といわれ断念していた。僕もつれあいも人だかりがたぶんなにより嫌いである。出かけられないし、田舎にしか住めない。それで近所のなにやらしけた卓球看板が気になっていた。卓球300円と書いてある。なぜだか「おいでやす」と書いてある。シャッターが閉まっているが、スレート倉庫の中に卓球台がおいてあるらしいことは予想できる。むちゃくちゃ怪しい。しかし気になる。
電話番号が書いてあるので電話してみた。今は飯を食いに行っているという。横の扉が少し空いているのでそこから勝手に入って、ブレーカーのスイッチを入れて卓球台を中央に出してやっていてもいいですよ、ということだった。そうすることにする。本当にただの倉庫で、車が一台止まっている。その脇に卓球台。棚にボールなどがある。ごそごそ引きずり出して勝手に遊ぶという感じ。なかなか愉快だ。
そのうちおじさんもやってきてフムフムと見学するような感じ。まあ、勝手にやってくれということだろう。「椅子も出して座るといいよ」といわれる。まあ、親切な人なのだろう。
長男と対戦してみて、その動きになにより驚く。確かに卓球部員としてはまだまだなのだろうけれど、一週間部員になったばかりで見違えるように卓球スタイルが磨かれている。ボールに変な回転をかけてきたりする。失敗してくれるので何とかなったりするが、次に対戦するとたぶん相手にさえならないことだろう。この頃の上達はあっという間だ。もちろんこちらが低レベルだからだけれど、ともあれ驚きと共に嬉しくなった。
レベルが同じくらいのつれあいとは激しいラリー。僕はつれあいよりは少しばかり卓球は下手だが、この日は彼女の調子が悪かったのだろう。連勝して気分がよかった。わはは。
気持ちいい汗をかいて、はて、時間はどれぐらいかとおじさんに聞くと、何時間でもいいよ、という。もしやと思ったら、やはり卓球料金は一人300円とのことだった。表示は紛らわしいけれど、まあ、仕方がない。子供は150円で今回は900円なり。会員になると一月500円で何回でもできるという(子供はいくらか忘れた)。断然会員料金がお得であるけれど、会員にはならなかった。しかしこの場所は僕にとってはいい場所であった。こんないい加減な場所が増えるといいなあ、と心底から思ったのであった。