「反原発」狂想曲

2014-03-27 | 読書
●「反原発」狂想曲/東谷暁著/エネルギーフォーラム新書/2013年10月31日発行/900円
 読み終えて、あふれる情報や時の空気の中で、冷静な判断力を持ち続けることの難しさをつくづく感じた。本書は、東電福島第一原発の事故に関してなされた報道の虚実をとりあげている。以前、塩谷喜雄著の「『原発事故報告書』の真実」(文春新書)を読んで、なるほどと思うところがあったが、その思いが褪せるほど、東谷暁著の方が「真実」に迫っているように感じた。
 内容的には、原子力規制委員会や国会事故調のメンバーことから、放射線の基礎知識にも及んでいる。民主党の「原発ゼロをめざす」とする政策のことにも触れていた。
 それで、思い出した。民主党が政権をとる前、2006、2007年頃、経済産業部門会議やエネルギー政策調査会で、わが国のエネルギー政策をまとめ直したことがあった。
 原子力については、「基幹エネルギー」と位置づけた。党内に、反原発の者がおり、原子力を「過渡的エネルギー」とする見方が根強く残っていたので、そうではないことを明確にしたのだった。感情論に流れるのでなく、現実を見据えていこうというスタンスをとっていた。わが国の安全保障のためにも、経済のためにも、環境のためにも原子力の平和利用を進めるという方向だった。
 そして、エネルギーの自給率の向上に関しては、「2030年に30%、2100年に50%をめざす」とした。当然、電力における原子力の比率はもっと大きくなる。その実現性云々については、さまざまな見方もあろうが、新しい歩みを始めようとしていた。
 さて、そして、・・・・・。
 うんざりすることが、たっぷりあった。