梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

プロジェクトとネーミング(その3)

2020年12月05日 06時32分38秒 | Weblog
さて、今年8月に始まったPJの名前を、“社長賞争奪‼ 新加工プロジェクト ネーミングコンテスト”と銘打って社員全員から募ることにしました。仮称で「ロボ立体加工」としてきましたがPJメンバーから、全社員から募集してその中から決めたらどうかとの発案があり、皆に考えてもらうことにしました。

わが社では職場によって出勤時間が違いますので、週一回昼休み時間(食事後20分位)を利用して、全員参加の昼礼を行っています。この昼礼で、PJの取り組みは折にふれ話してきました。昼礼で今回のネーミングの主旨を説明しましたが、PJ事態がよく分からないとの発言が2名からありました。会社としては伝えてきたとの思いもありますが、十分には理解してもらえなかったのでしょう。

三カ月半の間、提携先の会社でロボ機が稼働して、どのような製品を切っているのか、撮った動画や写真があります。それをこの際全社員に観てもらいました。また、ネーミングで一等に選ばれた人への社長賞も、最初はプリぺードカードや図書券を考えていましたが、金一封としました。その効果か、全員から名前の応募がありました。

中には折角考えたのだから、皆の前で名前についての思いを、プレゼンテーションしたいとの社員も現れました。そのような発表の機会も昼礼で織り込みながら、思った以上にこの企画は盛り上がり、一人持ち点3票(自分への一票も可)として投票が行われた結果、“プラス・ワン”と決定しました。わが社では最年少、それも女性社員のネーミングでした。この立体加工はわが社の未来へ向けた、大きなプラス・ワンです。

このPJを基に外に働きかけ、違う切り口で営業をしたところ、既存の得意先から従来受けていな仕事が入りました。並行して、ロボ機の加工を必要とする、であろうユーザーを調べリストアップしてきました。11月にその一軒に訪問をして、新規の仕事を受注出来ました。大きな利益に直ぐには繋がりませんが、貴重な第一歩です。

その新規先は、事前にアポも取らず「飛び込み」でした。訳の分からない押し売りが来たと思われたようで終始立ち話だったと、訪問した営業から聞きました。「すみません、三分間だけ時間を下さい!」と、会社概況とどんな加工が出来るのか手短に説明し、A4一枚の写真が入ったパンフを渡したところ、そこで一気に話が進んだそうです。

社内ネーミングもそうでしたが、言葉より視覚に訴えるビジュアルの威力は侮れません。飛び込み先からは、その場で見積依頼をされ、後日受注となりました。従来の平板の切り板の営業開拓は、断り続けられるなど大変な苦労を強いられます。今回の取り組みは、お客様がその加工を必要としていれば、そこが突破口です。

わが社が新規に受注させてもらった加工は、肉厚のパイプに切り込みを入れるものでした。そのユーザーの職人さんが内製化で、ラフに手切りし削りながら仕上げしていたものです。手間が掛かり、誤って削り過ぎると製品になりません。「この手間が解消できれば、職人には他の仕事をしてもらう」と、先方の担当者は言われたそうです。わが社がお客様の手間を請け負うことで、先方にとってもプラス・ワンになったと思います。

ネーミング募集で全社員に理解してもらったその同じ時期に、新規のお客様と取引が出来ました。不思議なタイミングを感じました。会社としてPJを進める上で、直接のメンバーだけでなく、他の社員の間接的な支援もとても大切です。

鋼板の切断加工は一般的には、ガス溶断、レーザー切断、プラズマ切断。いずれの切断機も一長一短はあり、板厚、枚数、形状、精度によって使い分けをします。わが社は、ガス溶断機とレーザー切断機を擁しています。概して、ガス溶断は火口(トーチ)や切断スピードの微妙な調整が必要で熟練の職人の介在する世界、レーザー切断は自動制御や夜間操業も出来て無人化の領域が広がっています。

近年同業者は、職人の高齢化や熟練工の後継が育たないことから、レーザーやプラズマ切断機を導入する傾向が強まっています。その結果、溶断業は薄ものの自動加工は進んでいますが、肉厚の製品で特殊な形状を扱える同業が減っているとも言えます。わが社はプラス・ワンを駆使して、独自の技術力の向上を目指したいと思います。
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