いやいや久々に面白い千秋楽だった。結果は横綱白鵬が14勝1敗で、自身2度目の6連覇と史上最多を更新する34回目の優勝を決めたが、白鵬の前に相撲を取った新関脇照ノ富士が大関豪栄道を小手投げで破って2敗を死守。負ければ優勝決定戦に持ち込まれる展開で、照ノ富士と同じ伊勢ヶ浜部屋の横綱日馬富士に勝ち、賜杯を手にした。照ノ富士の大きな相撲、日馬富士の弟弟子に対する執念、それに対する白鵬の我慢しきった相撲、すべて凄かった。欲を言えば、これに日本人力士が加わってほしいところだが、こんないい千秋楽を魅せられたら、そんなものは関係ないと思った。いやぁ3力士、天晴れ!
今日の重賞を振り返る。まずは中山11Rで行われた【第64回フジテレビ賞スプリングS】は、北村宏司騎乗の5番人気キタサンブラック(牡・清水久詞厩舎)が2番手追走から抜け出して優勝。タイムは1分49秒1。2着リアルスティール、3着ダノンプラチナの3頭が【皐月賞】の優先出走権を獲得した。レースはタケデンタイガーが先手を取り、離れた2番手にキタサンブラック。続いてフォワードカフェが3番手で人気のリアルスティールは中団の馬群でレースを進めた。4コーナーではタケデンタイガーが失速し、2番手から早めにキタサンブラックが抜け出し、後続との差を広げる。中団の前にいたダノンプラチナ、さらに外からリアルスティールも猛追したものの、最後まで粘り切ってキタサンブラックが快勝した。2001年のアグネスゴールド以来、14年ぶりに無敗のスプリングS勝ち馬となった。クビ差2着が1番人気のリアルスティール。さらに3/4馬身差の3着が2番人気の2歳王者ダノンプラチナだった。
勝ったキタサンブラックだが、スムーズな競馬が出来たことが勝因だろう。ペースが遅い割には後ろから来ない恵まれた展開だったが、それでも強敵相手に勝つのだから力はある。まだまだ成長できる馬体で、ひょっとしたら・・・。ただ母父バクシンオーでは距離の不安は残る。2着リアルスティールは位置取りが後ろすぎた。また勝負どころで反応が鈍かった。まぁ負けて尚強しの競馬だった。今日を叩いて、もっと動けるようになるだろう。ただ【皐月賞】より【ダービー】向きか。3着ダノンプラチナは正直余裕を持たせた競馬だった。一応、2000mも対応できたし、本番はもっとよく走れるだろう。
勝ったキタサンブラックは、父ブラックタイド、母シュガーハート(母父サクラバクシンオー)という血統。2004年にこのレースを制した父ブラックタイドに続く父子制覇となった。北海道日高町・ヤナガワ牧場の生産馬で、(有)大野商事の所有馬。通算成績は3戦3勝。重賞初勝利。清水久詞調教師、北村宏司ともに【フジテレビ賞スプリングS】は初勝利。
阪神11Rで行われた【第63回阪神大賞典】は、岩田康誠騎乗の1番人気ゴールドシップ(牡6歳・須貝尚介厩舎)が直線で抜け出して快勝。貫禄を見せつけ同レース3連覇を飾った。タイムは3分5秒9。
レースはスズカデヴィアスとメイショウカドマツが先行争い。3番手はラブリーデイとフーラブライドが続き、注目のゴールドシップは6番手で内デニムアンドルビーと併走する形になった。スズカデヴィアスが単騎逃げの形に持ち込んで、レース中盤では後続も差を詰め、ほぼ一団となって進む。2周目3コーナーではゴールドシップが進出を開始。3番手の外に押し上げ、仕掛けのタイミングをうかがう。これにつれて後続の馬も差を詰めて直線へ。満を持して仕掛けたゴールドシップが抜け出すと、外からデニムアンドルビーがただ1頭、食い下がった。最後まで脚いろが衰えないゴールドシップがデニムアンドルビーを振り切ってV。人気に応えて10度目の重賞勝ちを果たした。1馬身1/4差の2着が7番人気のデニムアンドルビー。2着から3馬身差の3着が2番人気のラストインパクトだった。
勝ったゴールドシップだが、阪神3000mでは本当に強かった。展開もこの馬向きになったのも良かった。ただ直線でもうひと伸びしたのにはこの馬の底力を感じた。ただ【天皇賞・春】となると・・・。2着デニムアンドルビーには驚いた。ほとんど勝ったと思ったが、今日は相手が悪かった。この馬は強。い3着ラストインパクトも良く走っているが、今日のところは前の2頭が強すぎた。
ゴールドシップは、父ステイゴールド、母ポイントフラッグ(母父メジロマックイーン)という血統。北海道日高町・出口牧場の生産馬で、合同会社小林英一ホールディングスの所有馬。通算成績は24戦12勝(うち海外1戦0勝)。重賞は【共同通信杯】、【皐月賞】、【神戸新聞杯】、【菊花賞】(12年)、【有馬記念】、【阪神大賞典】、【宝塚記念】(13年)、【阪神大賞典】、【宝塚記念】(14年)に次いで10勝目。須貝尚介調教師は13、14年ゴールドシップに次いで【阪神大賞典】3勝目、岩田康誠は08年アドマイヤジュピタ、14年ゴールドシップに次いで3勝目となった。
またもや広島・黒田博樹が、昨季日本一のソフトバンク相手に7回6安打無失点と好投した。黒田は6安打を許したものの、無四球で無失点。一回、いきなり先頭の本多に中前打を許したが、3番柳田を得意のスプリットで空振り三振に仕留めるなど、無失点スタート。七回には3安打で一死満塁のピンチを迎えたが、松田を内角ツーシームで詰まらせ三ゴロ併殺打に仕留め、最大のピンチも切り抜けた。
復帰初登板となった8日のヤクルト戦は、4回1/3を完全投球。15日のオリックス戦では6回5安打2失点の好投。さすがメジャーのローテーション投手、いずれも安定した投球を披露した。いよいよその黒田が、日本復帰イヤーのシーズンに万全の態勢で臨む。楽しみだ!