風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「本屋、はじめました」

2017-03-12 | 読書

ありがちな成功譚ではない。
そしてこれまたありがちな上から目線の
「大変だから止めたほうがいいよ」的内容でもない。
著者の辻山さんが大手書店を退職し
新たに個人経営の書店を始めた記録が淡々と語られる。

淡々と物事が進んだわけではもちろんないだろう。
不安も、紆余曲折も、苦労もあったはずだし
そのあたりも綴られているのだが
語り口が淡々としているので
読者はそのペースでどんどん引き込まれていく。

淡々と話は進むものの
新たに書店を始める大変さは十分に感じられる。
特に、きっちりとした事業計画もビジョンもないままで
「本屋さんをやってもみるのもいいなー」と
なんとなくぼんやり考えている人にとって(ワタシだ)
その大変さは衝撃ですらある。

この本の面白さは
なんと巻末に事業計画がそのまま掲載されていること。
そして当初の事業計画と比較した
初年度決算結果も(初年度は10ヶ月決算)
それを見るとますます大変さがよくわかるし
(当初計画を大幅に上回っているにもかかわらず大変そう)
本文から受ける大変さに輪がかかることになる。
(苦労してなおかつそんなに儲けることができないのか)

でもね、だからといって単純に諦めることはない。
詳しい資料まで付いているのだから
逆に「じゃあ自分ならどうするか」を考えることができる。
そのための教科書としてはとても役立つと思うんだ。



で、実は早速行ってみた。
思っていたよりずっと居心地のいい空間。
セレクトされた本たちはみんな自分的にドンズバな分野で
この本屋さんが自宅近くに無くて本当に良かった(^^;
(金がいくらあっても足りなくなりそう・・・)
駅からはちょっと歩くけど
なるほどこういう作りの本屋さんなら
わざわざでも時間作って行くわなぁ。
そう考えると
本読んで感じた大変さはどこかへすっ飛んでしまって
うらやましくなってくるのだった(笑)

「本屋、はじめました」辻山良雄:著 苦楽堂
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