風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼〜ゆる言語学ラジオ〜」

2023-07-20 | 読書

もしも人間の嗜好に遺伝というものがあるのなら
「言語好き」は間違いなく親父から私へ、そして長男へと
受け継がれてきた血だろうと思う。
親父は大学でフランス語を専攻するも英語の教免も取得。
(戦後すぐにフランス語ってとこがマニアック)
英語教員をしていたが、プライベートでも
とにかくフランス語や英語を使ってみたくて仕方ない人だった。
私が小学生の頃、京都に家族旅行をした時、
田舎では珍しい外国人の姿を多数見かけた親父は大興奮し
手当たり次第に声をかけ、とうとう家族と逸れて迷子になった🤣
宗教布教のために来日し、自転車で家々を回って歩いていた
アメリカの青年たちがこんな田舎にもいたのだが、
親父は彼らを歓迎して家に上げ、機関銃のように英語で話しかける
彼らはその間隙を縫って日本語で布教しようとするが
その隙すらなかなか与えない。
とうとう「もう来ません」と帰っていった😁

長男は小学生の頃からテレビのハングル語講座を見、
中学生の頃に神楽でタイに行ってからはタイ語にハマる。
高校2年夏休みには1ヶ月間タイへ短期留学し
大学の専攻も本当ならアジアの言語学の方へ行きたかったはず。
(残念ながら第2志望のアジア研究=文化人類学へ)
ラオス語、クメール語(カンボジアの言葉)、インドネシア語など
東南アジア国々で使われている言語はもちろん
ベルベル語(モロッコやアルジェリアで話されている言葉)や
ラーンナー語(昔タイにあったラーンナー王朝の言葉)まで
とにかく一般的にはマイナーな言語が好きらしい。

英語、フランス語という、割と汎用性の高い語学好きだった親父、
英語のほか、アジア圏で使われる言語が貴重な長男と比べ
私の場合は日本語(しかも方言)が専門なので
彼らに比べると残念ながら潰しが効かない😅
とはいえ、3代にわたって「オタク」と言えるほどの嗜好ではある。

前置きが長くなったが
言語の面白さを、どんなに熱っぽく話しても
果たして誰かに理解してもらえるのだろうかと思ったりする中で本書。
700日間語り続けなきゃいけないのかー💦
とはいえ、本書で取り上げられているのは主に日本語。
潰しが効かなくたって、役に立たなくたって、こんなに面白い。
普段母語として無意識のうちに使っている言葉が
こんなにも謎を孕んでいて、こんなにも複雑だということが
まぁ面白くって仕方ない。
「アニマシー(有生性)」とか「音象徴」とか「濁音減価」とか
知らん言葉が出てきて、それも納得の面白さだし
何より一番面白かったのは母音と子音の分析。
確かにねー、「うちなーぐち」には母音が3つしかないと言われるし。

ということで、
700日にわたって語り続ける根性がないので
私のここまでの説明と、表紙や帯のコピーで興味持った人は
是非読んでみてほしい。
たぶん思っている以上に面白いと思うよ。
あっという間に読み終えられるし。

「言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼
 〜ゆる言語学ラジオ〜」
水野太貴・堀元見:著 あさ出版

 
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