風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

夫婦

2009-04-10 | 風屋日記
5日の日曜日のwowowは15時間ぶっ続けの三谷幸喜祭り。
朝から「笑の大学」「ラヂオの時間」「みんなのいえ」
そして「THE 有頂天ホテル」と映画が続いたようだ。
その後、16:40からは私と母ちゃんが楽しみにしていた
中井貴一さんと戸田恵子さんの2人芝居「Good Night Sleep Tight」。
何しろ私以上に三谷ファンの母ちゃん。
昨年何かの折にこの芝居のチラシを目にして以来、
見たくて仕方なかったのだ。

舞台は最初から最後まで夫婦の寝室。
時間とともに、あるいは2人の関係とともに
ベッドがダブルになったりシングル2つになったり、
ベッドの距離も別れの場面では部屋の隅と隅になってしまう。
まだお互いのことがよくわからないながら愛し合っている新婚時代から
しっとりお互いを思いながらも自分のことに奔走する中盤、
いつの間にか仕事に成功し、大人になった妻と
かつての夢や希望もなくなってしょぼく落ち着いてしまい、
去っていく妻に遠慮しながら話しかける夫。
熟年離婚の場面から徐々に時間は遡り
(というより行ったり来たりなんだけど)
最後は新婚時代で終わるというストーリー展開も秀逸だった。
ただし、申し訳ないけど、
この芝居は結婚経験者しか本当の深さはわからないかも。

正直言って期待以上の芝居だった。
三谷作品らしい笑わせどころも満載ながらホロリとさせ、
最後は自分も登場人物に同化して胸が詰まる思いを感じる。
キャッチフレーズにある通り、
おかしくて切ない普通の夫婦の30年間の物語。
他人同士が一緒に生活し、長い時間をかけて
他の人にはわからない様々な感情や言葉や笑顔や涙を
多層的に積み上げていくのが夫婦なんだなぁ。
愛し合う気持ちも、離婚まで思い詰めた気持ちも
決して通り一遍で単純なものじゃない。
楽しかった思い出とほろ苦い感情をお互い抱きつつ、
夫は過去を振り返り、妻は前を向く。
でもね、妻も密かに振り返っているんだよね・・・と
三谷さんの脚本は教えてくれる。
知らん顔して踵を返しても、きっとその顔は涙に暮れている。
2人しか知らない積み重ねた歴史を捨てるのは
傷口を掘り返すような痛みが伴うものだから。
もう一度書くけど、恋人同士とは違って、
ともに過ごした時間分だけ積み重ねた夫婦の歴史は
その夫婦だけのものであり、深く厚いよねぇ。
普通の家庭でも、皇室でも。

さて我が夫婦。
お互いに笑い合いながら芝居を楽しみつつ、
終わった後(もう20時近かった)遅い夕食の準備をしながら
たぶん胸に去来したものはそれぞれ違ったんだろうね。
ただ言えることは、いつもより少しだけ
お互いに対して優しい気持ちになったことかな。
まぁその後は簡単な夕食を居間に持ち込んで
またゲタゲタ笑いながら「マジックアワー」を見たんだけど(笑)
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4 コメント

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仲良し仲良し♪ (imuimu)
2009-04-10 11:35:15
仲良しで良いですね~(^^)

夫は映画等好きな様ですが私がじっと座っているのが苦手(^^;)テレビで映画を見ていてもじっくり二人で並んでみていた事が有りません。

そんでもって
画面に向って笑うのが照れくさいのです~。
何ででしょうね、私、変な所でシラケたつまらん奴です(爆
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>imuimuさん (風屋)
2009-04-10 18:16:29
仲が良いかどうかわかりませんよ。
単に2人とも三谷作品が好きだってことかも(笑)
三谷作品ばかりでなく映画もわりと好きなのですが
映画館にはよほどじゃないと行きません。
いきおい2人並んでTV鑑賞になるわけです。
以前話題にした
リクライニング付の極楽ソファに座ってね(^_^)
場所取りが壮絶なので仲が良いかどうかは・・・(笑)
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良い夫婦♪ (りら)
2009-04-11 09:55:43
子供の出産後に自己主義な夫や妻が多くなり子育てが一段落して結果、熟年離婚大ブームとなるのに、風屋さんご夫妻のような理想の夫婦もいらっしゃる事がなんだかすっごく嬉しかったりします。
うちもそうですが、空気というより同志そして仕事上では敵(笑)時に兄妹、時に母子、お互い寄り添い生きてこれた事に感謝感謝の連続の毎日です。三谷作品・・・これが最高傑作かと思われます。
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>りらさん (風屋)
2009-04-11 13:13:58
これが理想なんですか(^^;
なんだかなぁ、こんなもんか(笑)
我が家の場合、高校の同級生同士なので
同級会などの時は便利だし
地元の友人はほとんど共通してるってのは
確かにメリットかも知れませんけどね。
それと仲がいいってのは別もんかと(笑)
でも「同志」ってのは言えるかもなー。
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