風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

The sound of music

2007-03-22 | 風屋日記
「The sound of music」は大好きな映画で
これまでにTVも合わせると20本以上は見た。
「Casablanca」と並び、この映画にもすべてがある。
自由、博愛、恋愛、青春、正義、歌、
そして「Casablanca」にはなかった家族。

昨日NHKでトラップ一家の次女マリアの番組を見た。
(3度目の放送だったらしいが私は初めて見た)
マリアは現在93歳。
映画で描かれた懐かしいオーストリア時代の思い出や
その後のアメリカで苦労した一家の物語などを
とてもチャーミングな笑顔で語っていた。
何不自由ない貴族の一家が時代に翻弄され、
無一文で亡命し、亡命先のアメリカでも迫害を受け、
貧乏しながらも一家全員がひとつになって生きてきた物語。
映画の通り、すべては義母マリアの才覚によって
一家は生き延びることができた。

ささやかなで平和な幸せは
戦争という暗雲によって簡単に破壊されてしまう。
それがどんな理由による戦争であれ。
しかし笑顔と家族愛と歌がこの一家を支え続けた。
昨日の主人公であるマリアが
どんなに辛い過去も笑顔で語っていたことに深い感動を覚えた。
トラップ・ファミリー合唱団解散後の彼女の後半生は
パプア・ニューギニアでの宣教師としての生活だったとのこと。
それも恐らく辛い40年間であったに違いない。
それでもニコニコとアコーディオンを弾きながら
「今でも歌が大好きなの」と
93歳とはとても思えないかわいい声で歌う彼女に
義母マリアから受け継いだ強い意志と
そして大きな愛を感じた。
すごいよ。この人達は本当にすごい。

私が初めて「The sound of music」を見たのは
確か小学校低学年の頃だったと思う。
1965年公開だから、それから程なくの頃だ。
映画好きだった親父からどんな映画かすら知らされることなく
「見に行くぞ」と映画館に連れて行かれた覚えがある。
ナチスも、時代背景も、何もわからない頃だったが
この映画は1発で気に入り、その後何度も見ることになる。
もしかしたら親父は
自由や博愛や正義や愛が暴力よりも強いことを
言葉ではない方法で私に伝えたかったのかも知れない。
そんなことを思いながら
番組が終わっても私はしばらくTVの前を離れられなかった。
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9 コメント

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Unknown (tamaki)
2007-03-22 12:56:09
私もそのテレビ、見ました。

わが家ではサウンドオブミュージックは大人気で、子どもが小さかったときはいつもねだられて、人形劇のシーンを何度も何度も、数え切れないくらい見ました。
楽しい映画なんですが、ナチの影がひたひたと迫ってくるあたりからはかなり緊張します。

映画は脱出したところで終わりますが、現実は終わらないのだ、ということを改めて感じました。
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>tamakiさん (風屋)
2007-03-22 17:35:11
>映画は脱出したところで終わりますが、現実は終わらないのだ
ホントにそうですね。
それからの物語の方が、もしかしたら彼らには辛かったかも。
アメリカに来て辛かった物語はアメリカ映画にはなりませんけど(笑)

人形劇のシーン、お休みのシーン、若い2人の忍び会いのシーン、
いろんな場面がまぶたに浮かんできます。
一番印象的だったのは、新婚旅行から帰ったトラップ大佐が
自宅の玄関に掲げられていたハーケンクロイツ旗を破ったところ。
知らないうちに家族に暗雲が垂れ込めてきたのを感じました。
ささやかな幸せは、ほんのちょっとしたことで崩れてしまいます。
返信する
サウンドオブミュージック (ballad-maniac)
2007-03-23 12:08:27
その昔、サウンドオブミュージックが花巻にリバイバル上映会で来たときに、声楽部のみんなで見に行ったのを憶えております。また、TVは僕も見ました。すごく印象に残りました。
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>Sさん (風屋)
2007-03-23 17:47:38
そんなことありましたっけ?
忘れてしまいました(^^;
見に行ったとすれば今はなき中央劇場ですね?

あの番組は良かったですね。
できることならもう1度見たいし、
外の存命の兄弟たちの姿も見たいと思いました。
返信する
見て良かったと思っています (たまびと)
2007-03-23 19:31:09
私も少し前にこのテレビを見ました。
その後のトラップ家を初めて知り、その後の方もかなりドラマチックなことに驚きました。
映画も大好きですが、このテレビの放送も素晴らしいと感じました。
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>たまびとさん (風屋)
2007-03-23 22:04:06
正直言って私はまったく事前知識がなかったので
「The sound of musicの裏側にある実話」
の番組だと思って見ていたのです。
本人が出ているというだけで充分に興味深いものでした。
番組後半になってその後のトラップ一家の物語となり
それこそ驚きの気持ちで見ていました。
もう一度見ることができたなら
最初から後半部分を意識しながら見られると思うのです。
返信する
Unknown (Toko)
2007-03-24 06:13:13
風屋さん、ご覧になったんですね。

私は以前観てたんですけど、
ちゃんと観たくてもう一度観ました。

次女のマリアさん、
ほんと素敵ですよね。
わたしは2度とも元気をもらいました。

パプア・ニューギニアの話ですが、
みなさん驚かれてますよね。
我が家もテレビを観た友人たちも、
みんなびっくりしてその話題でもちきりです。

すごく反響があるみたいなので、
またまた再放送があるかもしれませんね。
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ぼだいじゅ (洞門)
2007-03-24 07:47:16
見逃しました、残念、でも1回半観てますが

USではホント大変だった事

映画で悪役の執事にもトラップ一家に対し葛藤があった事

驚きと感激でした

TVに出たマリアさんはリコーダーの教則本を書き一家の演奏で古楽が再認識されルネサンスバロックなら岩手のアマチュアと言われるようになったんですから

もしかして、お父様お母様映画「ぼだいじゅ」もご覧になったのでは
返信する
皆さん見てましたね (風屋)
2007-03-24 08:17:17
>Tokoさん
パプアニューギニアの話は驚きましたが
その一瞬後には「なるほどね」と。
小さい頃からのその育ち方や
90歳を過ぎてなおチャーミングさを失わない笑顔、
そして生きる力。
彼女にしかし得ない仕事をしてきたのだと思います。

>洞門さん
「ぼだいじゅ」を両親が見たのかどうかわかりません。
その映画のことはあまり聞いたことがないので。

トラップ一家の執事については映画と事実とは正反対ですね。
まぁトラップ大佐(実は少佐だったらしい)の性格も
映画と事実とはかなり違うらしいので演出なのでしょうが。
あの執事や長女の彼はあの戦争を生き残ったのでしょうか。
彼らのその後も知りたくなりました。
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