風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ぼんやりした不安

2024-07-02 | 社会
昭和2年、作家芥川龍之介は
「唯ぼんやりした不安」を理由に服毒自殺した。
当時は関東大震災での首都圏被害が甚大となったあと
その2年後の大正14年には治安維持法施行、
大正天皇崩御を受けて、昭和2年に大喪が行われ、
また昭和金融恐慌が始まった時期。
隣の中国では辛亥革命から10年が経ち、
国民党と中国共産党とが反目し合う内乱状態で
世界各国が中国国内に派兵する騒乱の時代だった。

今、世界はウクライナやパレスチナで紛争が激化、
ヨーロッパでは極右が勢力を広げ
アメリカ大統領選ではポピュリズムの権化トランプが優勢。
公開討論会はまるで子どもの喧嘩のように
悪態の応酬となってしまっている。
北朝鮮はもとより、中国、ミャンマー、アフガニスタンなどでも
民主主義が破壊されつつある。
日本国内に目を転じると
金と権力の奪い合いで国の舵は誰にも任せられない。

誰かが誰かにひどいことをしている姿を見たくない。
イジメとか、虐待とか、虐殺とか、ヘイトとか、悪態とか。
だから「知らなきゃ」とニュースなどに無理矢理目を向けるものの
目にする情報にストレスを感じ、気持ちは落ち込むばかりだ。
そしてもうひとりの自分が
「それじゃあお前は誰かにひどいことをしたこと無いのか?
 誰かを辛い目に遭わせたことはないのか?」
と聞いてくる。
思い当たることは、具体的にたくさんある。
だから余計にまたそれがストレスになってくる。

「ぼんやりとした不安」
まさに今自分の心の中に暗雲として広がってきている。
この先さらに酷いことになる状況を見たくない。
凡人とはいえ、芥川の気持ちがなんとなくわかる今日この頃。
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