風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

実力だけじゃない

2008-04-22 | 風屋日記
いつ、どんなシチュエーションだったのかは忘れた。
確か国分寺の駅のホームでのことだったので
恐らく長男のところからの帰りだったかな?
電車を待っていると、隣の父子連れの会話が聞こえた。
パパの読んでるスポーツ新聞を覗き込んだ男の子が
「えー!?ジャイアンツの高橋尚成ケガしたの?」
「うん。ベンチでファールボールを顔で受けたみたいだな。
 情けないねぇ。たぶんよそ見でもしてたんだろう」
いやいや(^^;
バットの芯に当たった打球の速さを知らんのかいな。
ましてプロの球をプロが打った打球。
避ける間なんぞほんの一瞬だよ・・・と
高橋くんに代わってちょっとムッとした私だった(笑)

「戦力外通告」 角川 を読んだ。
大越基、田中一徳、橋本清、石毛博史、野村克則の5人が
どんな思いで野球を続け、どんな経緯でプロ入りし、
そしてどんな成績を残した結果戦力外通告を受けたのか。
特に大越は仙台育英時代から注目していたので
とても興味深く読んだ。

プロの選手たちの力量の差はたぶんそんなにない。
あるのは選手ひとりひとりの特徴やウリだ。
それでもほんの一握り、長いことスターでいられる人たちと
一度も脚光を浴びることなく消えていく選手たちがいる。
それはほんの偶然の出合いやケガや
あるいは誰かの一言がきっかけになる。
せっかくのチャンスに肘が痛いと言い出せなくて
結局選手生命を縮めたり、
たまたま調子が良い時にレギュラーがケガして出られたり、
新監督の目指す野球で自分の特徴を生かせなかったり。
ちょっとしたことで運命が大きく変わる。
ファンや周囲の心無い・・・というか無神経な一言もまた
ひとりの選手を生かしも殺しもすることがある。

もちろんプロの世界だけではないよ。
高校でも大学でも社会人でも同じことが言える。
例えばイップスというメンタルな病気がある。
野球でいえば、突然いい球が投げられなくなるものだ。
ほんの短い距離でのキャッチボールや何でもない返球が
ワンバウンドになったり、大きくそれてしまったり。
よく見かけるのは捕手が投手に返球できなくなる例や
三塁ゴロや遊撃ゴロで一塁に送球できなくなる例。
一度なると更にプレッシャーがかかり、腕が縮んでしまう。
次男が高校時代のチームメイトにもひとりいたが、
イップスのせいで掴みかけたレギュラーを手放す
あるいはベンチにすら入れなくなる選手達は
それこそ全国にたくさんいるだろう。
それもコーチやOBや周囲の人達の
「ちゃんと投げろ」のたった一言によることがよくある。
膝や肩や肘の故障ならまだ納得もできるのだろうが
イップスはなかなか乗り越え方がわからず、
結局野球から離れてしまうことも多いと聞く。

スポーツの世界、あるいはスポーツに限らずどんな世界でも
世に出る、脚光を浴びる、名声を得るのは
実力だけとは限らない。
運も必要だよなぁ・・・と、この本を読んで感じた次第。
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