風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

現代への警鐘

2016-05-12 | 世界・平和
昨日に続き「花森安治の青春」より引用。

「時代が変われば、
 憲法をいろいろ都合よく解釈したがる人間もいるさ。
 例えば北一輝のように、天皇が運営期間なのだという人間もいる。
 軍部にとってはありがたい説さ」
 (昭和9年 美濃部達吉の「天皇機関説」が問題となった時のセリフ)

「『人間』が弾丸の飛び交う中を飛び出していけるはずがない。
 死がそこにあるとわかっていながら、
 銃剣をひっさげて飛び出していくには『人間』であっては困るのだ。
 軍隊はまず『人間』を人間でないものに作り変える必要があった。
 だから彼らは、だから軍隊は、殴る、殴る、殴る。」
        (花森さんが従軍した直後、私刑を受けていた場面)

「君も知っての通り、国は軍国主義一色になって、
 だれも彼もがなだれをうったように戦争に突っ込んで行った。
 それは一人ひとりがフライパンを大事にしなかったからだ。
 もしみんなに温かい自分の暮らしがあって、家庭があったら、
 戦争にはならなかったと思う」
「女性が太陽の暮らし。
 女性が真ん中にある暮らし。
 それが続けば戦争は二度と起こらないはずなんだ。
 この日本は明治からずっと長い間、
 男の勝手な理論が次々に国をめちゃくちゃにしてきた。
 女性が真ん中の暮らしさえできれば、戦争は起こらない」
        (花森さんが新雑誌の意義を大橋さんに伝えた言葉)

「どんなに みじめな気持ちでいるときでも
 つつましい おしゃれ心を失わないでいよう
 かなしい明け暮れを過ごしているときこそ
 きよらかな おしゃれ心に灯を点けよう
 より良いもの、より美しいものを求めるための切ないほどの工夫
 それを私たちは、正しい意味の、おしゃれだと言いたいのです
 それこそ、私たちの明日の世界を作る力だと言いたいのです」
   (「暮しの手帖」の前身である「スタイルブック」巻頭の言葉)

「こんどの戦争で、
 一銭も返してもらわなかった大ぜいの人たちは
 それを忘れてはいない。
 なにもいわないだけである。
 いわないのをよいことにして、
 ふたたび、〈くに〉を守れといい、
 着々と兵隊を増やし、兵器をふやしている」
                 (「暮しの手帖」101号巻頭文)

「ぼくらの暮らしを後まわしにして
 ぼくらの血のにじむ税金を使って
 そんな企業を後押ししてきた政府よ
 その政府と なあなあでやってきた大企業よ
 見るがいい
 誇らしげに 君たちが作り上げたというその世の中を」
                  (「暮しの手帖」125号より)

「経済がなくなり、戦争という時代がやってきたとき、
 私は花森と同じように『戦争と広告』『広告と戦争』を語る
 クリエイティブ・ディレクターに就くだろう。
 それが怖いのだ。そんな自分の弱さが。
 だからこそ、戦争が起きてほしくないと願う。
 だからこそ戦争を起こしてはならないのだと考える」
     (自らも同業の著者馬場マコト氏による「あとがき」より)
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