風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ささやかな一日

2012-09-28 | 生活の風景
朝マンションを出て駅へ向かう。
後ろから追い越していくのは
元気の良い立ち漕ぎの自転車の女子高生。
角の駄菓子屋のおばちゃんが
店の前を箒で掃いている。
駅前のタバコ屋の前に座っているのは
時々見かけるハンチングを斜に被った爺さん。
前を姿勢のいい女性がハイヒールの音を立てて
足早に歩いていく。

電車の中、扉の横には
疲れた顔の野球バッグ足元に置いた高校生。
頑張れ。
隣に立つおっさんが駅に着く度ぶつぶつ文句を言う。
何かにイライラしているらしい。
そのおっさんをチラチラ横目で見ながら
日経を小さく拡げて読んでる小太りのサラリーマン。
キャスターつきトランクを横に置いてるお婆さんも2人。
オシャレして、どこかへ行くのかな?
黄色い帽子と制服姿の小学生が2人
おとなしく手すりにつかまっている。
都会の子たちは大変だ。

駅に着き、朝食を食べにいつものカフェへ。
ここには毎朝のようにいるカップル。
隣同士で座り、お互いのスマホを覗き合いながら
「アハハ」「フフフ」といつも仲が良い。
朝のカフェにいるってことは
一緒に暮らしているのかな?
それともここで待ち合わせて一緒に出勤?
疲れた顔でふんぞり返って
珈琲飲みながらゲームしている若いサラリーマンや
何やら文書を一心不乱にPCに打ち込んでいる
高そうなスーツ着て革のバッグを横においた
立派な紳士も窓際に座っている。

カフェを出て会社へ。
ビル前を清掃している人たち。
自転車の荷台に大きな荷物を載せた店員さん。
ツーツ姿やブラウス姿の人たちは
みんな急ぎ足で横断歩道を渡り
あるいは歩道を歩いていく。
中には重い足取りの人たちも・・・。
今日も一日頑張って。

たくさんの人たち。
たまたまその瞬間に居合わせた知らない同士。
生まれてから10年しか経っていない人たちも
30年経った人たちも、70年生きてきた人たちも
それぞれ一人ひとりに喜びや哀しみ、苦しみがあり、
それでも今日という一日をスタートさせている。
そう考えるとそれぞれの人たちがとても愛おしい。
ささやかな日常の中で
精いっぱい生きている姿が健気に見えてくる。
この人たちの幸せを祈りたくなってくる。

ふーっとひとつため息をついて
自分の会社のあるビルに足を踏み入れる。
さて、また日常が始まる。
今日を始められる。
コメント
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