風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「茶味空間。~茶で読み解くニッポン~」

2012-09-12 | 読書
3連発(^^;
どんだけ茶の湯にハマったんだって話(笑)

でもこの本は、中身もさることながら
装丁やレイアウトデザインもワタシ的にストライク。
紙質、書体、写真から
デザイン上の罫線の太さまでど真ん中だ。
(欲を言えば背のデザインがちと寂しい)

この本を書店で見つけた時、ちょっと立ち読みして
軽妙洒脱な文章も気に入ったんだけど
何よりも
「異空間の茶の世界と浮世のギャップを埋める」
ものが欲しかったところにぴったりハマった。

文章はとてもわかりやすい。
例えば「山水画」の章。

 山水画を賞玩した人々は
 当時「士大夫」と称される階層の人たちでした。
 彼らは宋時代のいわゆる官僚であり、
 詩画にも通じた知的文化人。
 お役所勤めで都会での生活を余儀なくされながら、
 田舎に隠遁して
 晴耕雨読に引きこもりたいという願望を持っていました。
 そこで夢のカントリーライフを
 バーチャルに楽しむために描かれたのが、
 この山水画だったというわけです。

なるほど。
こんな調子で「日本の美」や「茶の世界」を描く。
キリスト教と茶の世界の共通点や
将軍の同朋衆を「将軍家の専属ライフコーディネーター」と
言い表してしまう表現。
なかなかの本だねぇ。
個人的には「見立て」の章が気に入った。
面白い文化だし思った以上にフレキシブル。
やってみたい。

著者は武者小路千家家元後嗣。
慶應の大学院で中世日本絵画史を学び、
文化庁からアメリカに派遣されていた人とのこと。
茶の世界で次代を担う若手のひとりだろう。
「カーサブルータス」に連載したエッセイ集は
日本文化の新しい解釈を示してくれる。

「茶味空間。~茶で読み解くニッポン~」
千 宗屋:著 マガジンハウス CASA BOOKS
コメント
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