風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「利休にたずねよ」

2012-09-10 | 読書
「茶は形式美。
 定石の所作と作法に固められ
 家元制度の下の礼儀の文化」
・・・だと思っていた。
自らはほんの一部分に触れたことがあるだけで
よく知らないままいかにも偏見だったと
本書を読了して恥じた。

茶は哲学であり、ライフスタイルであり、
そしてより自由でもある分
その人のひととなりを如実に表現するもの。
良くも悪くもその人の人生をあからさまにする
大変恐ろしいもの。
そして、だからこそ面白いものであることも
本書のおかげで知ることができた。

茶の世界で自分を試してみたいとも思った。
ただし形式を真似るつもりは毛頭ない。
しばらくは頭の中をトレーニングしてみよう。
それにより、物事に深い意味を持たせたり
幾重にも組み立てた仕掛けを考えるやり方が
段々身につくような気がする。
生活上も、仕事上も、
そして社会の中での生き方の上でも。
今の日本社会は考え方も生活も薄っぺらに見える。
外国にやられたらやり返す。
勝ちか負けか、YesかNoか、右か左か、
プロセスも無く結論を出したがる。
哲学を持たずに感覚と感情だけで世論は動く。
現代こそ茶の哲学が必要なのではないか?

本作品そのものがひとつの茶席のようだ。
殺伐とした武家社会と価値観があり、
思惑と嫉みそねみの人間関係の中で
ひとり枯れ、侘び寂びているような利休の姿。
しかしその裏に秘められた強烈な艶。
そうか。利休の人生そのものが茶会なのだ。
いや、利休の茶が彼の人生を表したものか。

最後に、解説の宮部さんの問いに
利休に変わり、同じ男として答えよう。
女性はそう考えるかも知れぬが、
それではちと興が足りぬ。
もっと秘めたところにこそ艶はある。

さて、読了直後だが再読してみようか。
と思うほどハマった作品。

「利休にたずねよ」山本兼一:著 PHP文芸文庫





で、早速コレを買ってきた(笑)

うむ。本当に茶の湯は面白い。
ワタシ自身は利休より
古田織部の茶が好きかも知れない。
コメント
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