風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「ツナグ」

2012-09-29 | 読書
ストーリーテラー。
最初並列だと思っていた物語が多層になり、
さらにその一部が引っぺがされる。
生と死の間に惑う人々を描く
重松ばりのヒューマンストーリーかと思えば
「生とは何か」を問う哲学も盛り込まれている。
残念ながら丹念に深く描かれる女性たちに比べ
男性たちはいささかステロタイプ気味だが
作者が言いたいことは充分に伝わる。
ってか、
オトコなんてそんなに複雑じゃないのかも(^^;

解説の本多孝好氏は読者に
「自分ならば、誰と会うことを願うか。
 自分が生者の場合。
 自分が死者の場合。」
と問い掛ける。
当然ワタシも考えた。
死者になってからなら・・・いる。
でも生者として会いたい人を考えるより先に
「それより『ツナグ』になりたい」
と感じた。
たくさんの人々の生と死を見てみたい。
それぞれの人達の様々な思いを感じてみたい。
当事者ではなく第三者として。
彼らの目に触れない存在として。

「ツナグ」辻村深月:著 新潮文庫
コメント
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