風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

歴史に学ぶ

2006-03-23 | 風屋日記
これは今朝の風景。雪だよ・・・(溜め息

    ◇      ◇      ◇

私は一応、「本読み」であるとの自負を持つ。
本読みである以上、流行りものには手を出さないというのが矜持。
逆に自分が読んだ後に流行るとプライドがくすぐられるという、
割に懐の狭い、心のちっちぇー本読みだ(笑)

さて、そろそろ話題も下火になったかと思い、
司馬遼太郎「坂の上の雲」を読み始めた。
なかなか読む時間をとれずまだ2巻の途中だが。
司馬作品は、実は初めて。
テーマが大仰に感じられて今までは敬遠していた。

作品の根底にある舞台はmkさんの故郷(笑)
そういう意味でもとっかかりとしては興味があった。
時代背景は明治も初期。
志ある人間達がハイテンションだった頃だねぇ。
主人公のひとりである秋山好古は陸軍騎馬部隊の指揮官だが、
実は私の祖父も長州の出で近衛兵出身の職業軍人。
歳はちと違うとはいえ、同じ時代に生きていた。

物語は秋山好古・真之兄弟と
真之の親友である正岡子規が主人公となり、
明治初期の青年達の考え方や生き方が生き生きと描かれた、
いわば青春物語として始まる。
おもしろい。
これまで歴史上のこととして捕らえていたことが
とても身近に感じられる。
そして、つくづく感じたのは、
身の回りや社会の中にある「モノ」が変わっただけで、
そこに生きるヒトや社会そのものは変わってないということ。
歴史で習うと勘違いしがちだけど、
どんな時代だって人間そのものは変わらないんだね。
彼らの受験の話など、とても身につまされて読んだよ(笑)

さて司馬遼太郎。
私は彼を「時代がかった大河小説家」だと勘違いしていた。
実はすばらしい洞察力と分析力、
そして冷静な視点を持つ作家であるということを初めて知った。
明治から大正、昭和にいたる時代の流れがよくわかる。
なぜ日本が朝鮮併合に踏み切ったのか。
支那事変や満州事変はなぜ起こったのか。
そして戦前の軍部はなぜ暴走することになったのか。し得たのか。
明治期からの歴史の流れを追うとよくわかる。
必然から生まれたシステムが制度疲労し、
拡大解釈がどんどん拡がった結果が主な原因。
システムなんてのは所詮人間が考えることなので
完璧なんてのはあり得ない。
いかに本質が大切かということがよくわかるし、
常に本質に立ち返ることと、イノベーションの必要性を痛感する。
これは社会や政治に限ったことじゃないよ。
現代の我々の社会も、仕事も、そして生き方にも通じることだ。
歴史に学ぶって大切だねぇ。
コメント (6)
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