肥満の馬がどれくらいいるか、スコットランドの乗馬で調べた成績がVeterinary Record に載っている。
以下要約。
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Prevalence of obesity in riding horses in Scotland
スコットランドの乗馬における肥満の多さ(頻度)について
C.A.Wyse, K.A.McNie, V.J.Tannahil, et al.
Veterinary Record, May 3,2008 p590-591
肥満は、深刻かつ馬の快適な生活にとっての多くの場合あまり記載されていない問題である。肥満した馬は病理学的な状態、蹄葉炎、高脂血症、脂肪腫による絞扼を起こし易い。肥満馬は、他の動物や人と同じ機序で、骨関節症も起こし易いかもしれない。
病気になり易いことに加えて、肥満馬は騎乗運動の肉体的そして精神的なストレスに耐える能力が劣る。
22の施設の319頭の馬を調査した。平均年齢は11歳。65%は去勢馬。35%はサラブレッドかサラ系であった。
太っている(score5)が35%、非常に太っている(score6)が10%、良好(score4)が39%、適切(socore3)が14%、痩せている(score2)が2%、ひどく痩せている(score1)はいなかった。
この調査の目的からscore5と6の馬を肥満と考えた。調査した馬の45%が肥満していたということは乗馬の肥満がたいへん多いということを示している。
以前に報告された飼い猫(25.8%)や犬(25.2%)の肥満の率よりもはるかに多かった。
飼い主の認識もずれていた。
ボディコンディションが肥満を示している馬で飼い主が肥満を認識していたのは91頭。認識していなかったのは53頭。
ボディコンディションで肥満していない馬で、飼い主が肥満だと認識していたのは36頭。肥満だと認識していなかったのは139頭だった。
飼い主を教育することで馬の肥満を認識してもらい、より適切な飼料給与に導くことができる。
ボディコンディションの単純でしっかりした評価方法を開発することは飼い主の教育と肥満馬の管理のための重要な手段を提供することになる。
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外見からいくとそれほど太った馬ではなかった。
しかし!
腹膜下脂肪の厚いこと。
この繁殖雌馬は2年不受胎なので、昨年の不受胎で太ってしまったという側面もあるだろう。
しかし、過度の腹腔内脂肪が不受胎の要因になっている可能性も否定できない。
皮下脂肪はそれほどでもないのに、腹腔脂肪がこれほど多いのは何か代謝上の問題を抱えているのかもしれない。
犬と同じように品種によって多少の違いがあると思うのですがどうなのでしょう?
また個に合った理想の体型(肥満度)の割り出し方とかあるものなのでしょうか?
十数年前は、「乗馬は太っとるほうがかわいいやんけ!」と言う人もいましたが、
(写真のような馬場馬もたまにいたような…肢もむくんでいますね、肢巻を巻いてごまかすのでしょうか、障害馬は写真よりはまだましなのが多かったように思います)
軽種馬飼養標準が発行された頃から、太り過ぎはよくない、という認識が乗馬の人の間でも広がってきたように思います。
いい本だと思います。
クオーターホースは太りやすいのでしょうか、太めのクオーターホースがおりました、かなりのロングトウー、アンダーランヒールで、運動が足りなかったのだろうと思います。
瘠せたクオーターホースもいました、いい障害練習馬で子供たちの障害練習にも活躍してくれましたが、瞬膜の扁平上皮癌(何度か大学で切除してもらいました)が転移していたので、そのせいで太らなかったのかもしれません。
ところで、こちらのスーパーではますますバターが品切れになっています、飼料穀物が値上がりしたせいもあるのでしょうか、サミットでなんとかいい方向にしてほしいです。
品種によるボディコンディションの見方の差。というのは当然あってしかるべきでしょう。個体によってもどこに脂肪がつきやすい、筋肉が発達しているというのはあるでしょう。
今、用いられることが多いボディコンディションの判定システムは、肋骨の見え方、肩回り、尻尾の付け根、背中、尻などの脂肪の蓄積を見て、そして触って判定することになっています。しかし、脂肪だけでなく、筋肉の量も「コンディション」には関わってくるでしょうし、皮下脂肪はそれほど多くないのに腹腔脂肪が異常に多いということもあるのだろうと、今回思わされました。
基本的には運動させる馬は太っていない、脂肪が多くない方が、持久力の点でも、運動器の故障が少ない点でも望ましいのだろうと思います。例外は重輓馬で、自分の体重を前にかけることで橇をひくので、筋肉量だけでなく、脂肪の量というか体重が必要なようです。
バターの品切れは、北海道にいると複雑な思いです。去年、生産過剰でミルクを捨てたんですから。農政は難しいと思いますが、食糧を捨てるというのは絶対に間違いだと思いますね。
蹄葉炎や不妊として診療の対象になり
原因は肥満しかないよなぁ・・・という個体によく当たります。
「飼い主を教育すること」ホントそう思いますね。
同じように太っていても平気な個体もいますが
粗飼料で太った馬は大丈夫のような気がします。
何を食わせて太ったのか?を見極めたい所です。
見た目のコンディションも大切ですが
人間のように体脂肪の測定することはできないのでしょうか?
繁殖雌としましては腹腔内脂肪は分娩や産子にも影響を及ぼしそうな気もいたします。
挽馬における体重のための脂肪は興味深いですね。
よく考えてもおりませんでしたが、相撲力士と通じる部分でしょうか。
慣性を含めた運動のメカニクスというのも当然あるわけですね。
斥量が増えても体重が重いほうが有利、というバランスがあって競争能力が選抜改良の目安とされてきたのでしょうから納得です。
あ、私は会社の健康診断が来週あるんだった・・・今さらじたばたしても仕方ないですね(笑)
トンガ王国でしたか、皆太っているけどタロイモを食べて太っていて、成人病は非常に少ないということでしたよね。甘い物や肉食で太るのとは違うようです。しかし、馬は青草のフラクタンでも蹄葉炎になるようです。
馬も体重測定や正確なボディコンディションスコアの評価や、超音波による脂肪厚の測定は可能ですよね。
電気抵抗で測るのは難しそうですね。電極に乗っかっても蹄があるし、測定器を手でつかむわけには行かないし、どこかへ押し当てても皮膚が厚いし・・・・
超音波で脂肪の厚さを測るのは正確だと思います。何箇所測るか、脂肪の総量をどう算出するかなど課題はあるでしょうが。
輓馬は自分の体重を前へかけて、自分の重さで橇を曳くそうです。
「ゴク抜けする手前が一番引っ張る気がする」と名調教師が言っていました。
馬で一番用いられているのは9段階で評価する方法です(紹介した文献の方法ではありません)。きちんと確立された方法です。サラブレッドの繁殖雌馬だと6が望ましいとされているようです。
馬も脂肪のつき方も個性があるので、いろいろなところを評価しておいて平均を取ります。人も・・・・・・ですよね(笑)。