馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

当歳馬の夏の疝痛 1

2022-08-08 | 急性腹症

当歳馬の疝痛症例が続いている。

夜間放牧していて、収牧時には大丈夫だった子馬。

厩舎の中で疝痛が始まり、治療を受け、治まったので放牧したのだそうだ。

しかし、放牧地でまた痛がっているのが見つかり、昼に来院した。

ひどい疝痛ではない。

血液検査所見も悪くはない。乳酸値2.1mmol/l、少し高い。

しかし、まだ痛い。

超音波では蠕動はあるが膨満した小腸がいくつも映った。

「開けましょうか」

           -

空腸下部に乾燥した内容が詰まっていて、

そのせいだろう、大きなループで上位の空腸と下位の空腸が捻れていた。

上位の空腸の一部は点状出血と膠様浸潤が始まっていた。

小腸内容を盲腸へ押し込んだら盲腸はパンパン。

減圧しようと補液管を刺したが、液状内容ばかりなので減圧できない。

仕方がないのでそのまま閉腹した。

           -

覚醒起立後、入院厩舎で様子をみたが、痛くないので帰っていった。

急いで乾いた餌を食べ過ぎたのだろう。

水分豊富な青草と、乾いた餌を食べ分けなければならない。

そして、短い繊維は丸呑みする。

夜間放牧明けに乾いた粉餌を与える必要があるのか、私は疑問に思う。

        /////////////

7月22日に4回目のコロナワクチンをうってもらった。

今度はファイザー製。

1回目2回目はなんともなかった。3回目のモデルナ製の後は具合が悪かった。

4回目のファイザーは安心していたのだけど、ちょっと倦怠感。

しかし、おかげで少しは安心して小旅行へ。

ラベンダーはもう終わりかけの圃場もあった。

香水くらいにしかならない花をいっぱい植えてどうするの?という反対もあったそうだ。

今や多くの観光客が訪れる目玉になっている。

ほとんど日本人だったが、充分ににぎわっていた。

 

 



8 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2022-08-08 06:58:40
便秘の子馬、ちゃんとうんちでているといいですね。
 まだミルクしか飲まない子馬も水桶に口をつけていることがありますが、好奇心なのでしょか?飲めてはいないようですが。もう少し大きくなって水を飲むようになっても、水桶の水が少なくなると子馬には届かないところもありました。
 本来果物は必要ないと思うのですが、バナナやリンゴなどが好きな馬は排便への影響はあるのでしょか?
 
 ラベンダー畑は夏休みはいっそう人気でしょうね。旭川動物園も近いし、ホッキョクグマの子も。
 北海道も夏は暑い日もある。元気に夏を楽しみたいですね。
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>はとぽっけさん (hig)
2022-08-08 07:15:18
私はこういうのは小腸便秘とは呼びません。食べたものが詰まったのですけど、日本語での「便秘」とは概念がちがうと思うのです。
まして回虫や異物が詰まっていると、それは「閉塞」ではありますが「便秘」とはちがいますよね。

乾いた粉餌を与えるのは良くないと思っています。まして草まで切ってあたえる必要はないのです。青草を充分に食べていますから、タンパクも足りていると思います。

馬へのバナナやリンゴはあくまでおやつでしょうね。少量なら便には影響しないでしょう。

牛を連れてきたおじさん、「なんで今日はこんな暑いんだべ」
私、「夏だもの;笑」。
「牧草まだやってないんだ」
おじさんが言いたかったのはそのことのようでした。夏の天気読みは難しいです。
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Unknown (風来坊)
2022-08-08 08:15:31
昼夜放牧・夜間放牧時に飼い葉でやるのな、ミネラル・微量元素のペレット少々
どうしてもBCS維持できなければ考えますが、何もいらないはずですけどね・・・
学術的な話でなく経験的に
昼夜放牧と書いて、完全管理放牧と読む・・・
ぶん投げ放牧でも、丸投げ放牧でもないです
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>風来坊さん (hig)
2022-08-08 19:06:54
牛飲馬食と言いますが、食えるだけ食わさないと気がすまないのが馬屋かたぎになっているのかもしれません。発育の良い肉付きのよい子馬でした。それでも、もっと大きくしたいのかもしれません。しかし、それは運動器にとってもよくはないんでしょうけどね。

馬をよく観て、必要がないと思ったらそれ以上食わさない。へばっていると思ったら放牧時間を減らす。その判断が重要だと思います。
でも、昼夜放牧していると楽で仕方がない。仕事なくなるもん。それが実態かもしれません。
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Unknown (zebra)
2022-08-09 05:02:39
補液管の針の太さではガスしか抜けないですか。
套管針まで刺そうとは思いませんか。刺したら危ないですか。
牛だと結構やりそうなので。

オミクロン対応ワクチン接種が間もなく始まるそうですが、ブロック弱いところから次の目が出るだけなので延々いたちごっこなのでしょうね。
これいつまで続くのでしょう。

サラブレッド生産業界は外需が強いでしょうから、円安だとすごく潤うのではないですか。
いままで海外からやってきた農場スタッフさんですとか、日本で仕事続けようとか思わなくなりそうですが、いかがですか。
円安視点が文化を含めた国内資産の再評価につながればルネサンス的なものが起こるわけですが、そこに気づく前に海外資本に持っていかれてしまうのが現実なのかも知れませんね。
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>zebraさん (hig)
2022-08-09 06:31:46
套管針を刺せば粥状内容も抜けるならやってみる価値はあるかもしれません。しかし、第四胃変位の手術でご存知のように繊維が入っているとまず抜けません。

COVID19の流行株は人が選択をかけているのでしょうね。感染しやすい株が残っていく。いたちごっこがすでに始まっているのかもしれません。

コロナで馬券が馬鹿売れするとは誰も予想できなかったのでしょう。しかし、後継者不足・労働力不足は変わりません。飼料や資材の高騰もこたえて来るでしょうね。
私は円安誘導・インフレ待望論には懐疑的でした。国民みんなで資産を失うことの何が好いんでしょう。
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Unknown (zebra)
2022-08-10 05:05:22
馬は下部消化管で繊維こなすからなおさらなのでしょうね。

感染しやすい株が残っていくというか、常に変異し続けてアウトブレイクに成功する感じですかね。
ワクチンばかりではなく生活様式でもそのパラメータが違うのでしょう。
共鳴器なんか思い浮かべてしまいますね。

金利あげたら利子払えなくなると言うのが日本の台所ですからね。
円安株高誘導でしたから株持っていればリスクヘッジできたのですが結局円安株安じゃねえかという笑
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>zebraさん (hig)
2022-08-10 05:28:04
馬は牛よりよく噛んで食べていると思います。なのに噛まないで飲み込めるようなものをわざわざ与えるのは良いことではないのでしょう。

他の感染症まで爆発してきそうですね。社会衛生学が大いに進歩したでしょう。

日本の「没落」はもう始まっているようです。
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