馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

北海道産業動物獣医学会2022 ホームグラウンドへの御礼

2022-09-10 | 学会

はじめて北海道産業動物獣医学会へ行ったのは学生の頃、稚内だっただろうか。

稚内は遠かった;笑い。

就職してときどき産業動物獣医学会へ参加させてもらうようになった。

しかし、私は自分の発表を持たずに学会へ参加するのは好きではなかった。

他の人はがんばっているのに、自分は何をしているのだろう、と焦燥を感じるからだ。

数年のうちに、学会で発表したいことをまとめられるようになった。

しかし、学会へ行かせてもらえるのは数年に一度だった。

データや症例を集めて、まとめておいて、一緒にやった仲間や同僚に発表してもらったこともある。

関節鏡手術や、

Rhodococcus equi の調査や、

難産の後肢吊り上げ法は、

数年連続で賞をいただいた。

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学会はコンテストではない、とわかっていながら、

優秀賞が選ばれるなら、それを目指したい気持ちもあった。

渾身の発表、と思いながら賞にもれ、選考に不満と疑問を抱いたこともある。

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ところが、10年ほど前から学会幹事を仰せつかり、審査にあたることになった。

担当の会場の演題は全部聴かなければならないし、採点しなければならない。

あらゆる分野の発表を理解できるわけではないし、正直、興味がもてない演題もある。

集中力だってそうそうは続くもんじゃない。

           ー

毎年、行かせてもらうようになったので、毎年、発表するようになった。

自分の演題に票が入って推薦されることもあったが、基本的には辞退してきた。

もう賞をもらって褒めてもらっちゃいけないだろう。

ただ、やった仕事そのものは認めてもらいたい気持ちもある。

ひどい蹄葉炎の馬を深屈腱を切って助けられるかもしれない、とか、

骨が折れた馬や牛をプレート固定で助けられるかもしれない、とか、

受賞して注目されることで普及につながるだろうという思いもある。

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北海道産業動物獣医学会では、本当によく学ばせてもらった。

この学会なくしては、今あるようにはやってこられなかったとさえ思っている。

私の一番のホームグラウンドであった。

たぶん、もう参加することはない。

お世話になりました。

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カバはその見た目とちがって、かなり活発で、ときとして凶暴な動物らしい。

旭山動物園のカバも、とても活発で、プールの中をグルグル泳いでいた。

カバ、最高~!

 

 

 



12 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2022-09-10 19:29:57
 たぶんもう参加しないのですか?
 より若い先生方によって会が発展、盛会となるといいですね。
 hig先生はまだまだ発表の題材はお持ちなので、どこかでぜひ。
 今夜の月を楽しみにしていたけど、あれ?ちっとも見えない。見えなくてもそこにあると思えることの幸せ。
 
 昨日のツイッターではカバの凪子がブイを転がしてはっちゃけてました!足に負担が。とか、痩せちゃって水に沈むようになったら大変!と思ったけど、普通に活発なのですね。
 カバプールって、すぐに水が汚れちゃうけど、きれいなので、おなかの様子も見えちゃってますね。
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Unknown (東吾)
2022-09-10 23:39:03
学生時代に動物園でアルバイトをしていました。
カバ担当ではなかったのですが時間が空くとカバの処へ行って話をしていました。
そのうち担当の飼育係員よりも私に懐いて、遠くからでも
こちらを認識すると走って近寄ってきました。
カバは賢い動物ですね。
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>はとぽっけさん (hig)
2022-09-11 05:01:47
数多く参加させてもらったことに感謝し、あとは若い人に譲ろうと思います。産業動物の演題が90,100ある学会なんて世界でも希有でしょうし、馬の演題が20以上ある学会も日本では珍しいです。

月はどこへ行っちゃったんでしょうね。夕方晴れてたんだけどな。

カバ、迫力でした。
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>東吾さん (hig)
2022-09-11 05:04:07
ほ~、カバは人に懐きますか。担当でないなら餌もおやつもあげていなかったでしょうに。かまってもらいたかったのでしょうね。
プールをぐるんぐるん回っているのを観ると、遊び好きなのかも。
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Unknown (zebra)
2022-09-12 05:01:44
大動物獣医学的にも世界屈指の集積地帯であることを自覚自負すべき?なのかも知れませんね。
大学3つあるし。

hig先生はどこへ向かうのでしょうか。
診るエバンジェリストであるとしたなら、やはり学会は真のホームではないのかもしれませんね。
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>zebraさん (hig)
2022-09-13 07:56:57
これだけの畜産地帯は世界レベルかもしれませんね。ただ頭数だけでなく、北海道独自の事情が背景になり独特です。
大学3つも、すごいです。

エバンジェリストとしてももう使命は果たしたと思います。
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Unknown (zebra)
2022-09-14 05:40:19
東亜寒帯のハードな気象ですとか、強力な政治的支援とか色々ありましょうけれども、乳肉馬全部載せの独特ですからね。
それが持続可能かと言う視点からするとSDGsが流行るのも納得する訳ですが、生産物に十分な対価を付加できると言う点で畜産は昔から魅力で、特に日高の競走馬は今後も生き残っていくのでしょう。

世界に追従していくためにより若く芽生えていくモノにリソースを集中させていくために退くのも賢明だと思います。
ただhig先生が熟されてきた命題が完成され陳旧化したのかといえばそうではないですからね。
今までがフロンティアに過ぎず、これからがエバンジェリストだと思っているのですが、そうではないのでしょうか。
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>zebraさん (hig)
2022-09-14 20:29:51
たしか、北海道はニュージーランドより人口は多いのです。ニュージーランドは農業国として独立しています。酪農、羊、サラブレッドも居ます。北海道ももっとレベルアップできるはずです。

私が開拓者であったか、単なるエバンジェリストだったか、自分でもわかりませんが、どの役割もそろそろおいとまです。だいたい私、エバンゲリオン世代じゃなく、ファーストガンダム世代ですし;笑
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Unknown (zebra)
2022-09-19 06:53:48
レベルアップを実現するのは外資かも知れませんが、それはもはや日本ではないのかもしれません。
爆買いが着々と進行していそうで怖いです。

ガンダム世代のオマージュがエヴァだったのかもしれませんが、その行為自体が伝承だったのかも知れませんね。
どっちもさっぱり知らんですけど笑
遺伝要因なんかで一次的な現象とか文化みたいに発生した疾病もありましょうし、それを知らないわけにもいかないでしょうし、そういうのを診断できるのもオールドファッションのいいところではないかと思います。
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>zebraさん (hig)
2022-09-19 18:44:14
買われる日本、ですね。

遺伝要因の分析で消えていった疾病も多いですよね。死亡壊死症もずいぶん減りました。特発性心筋症とか、鬱血性心不全もそうだったのでしたか?BLADなんてのもありましたし、○○バンド欠損症とかももう出ないんですよね?
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