馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

北海道産業動物獣医学会 2017

2017-09-09 | 学会

北海道獣医師大会ならびに三学会へ出張していた。

今年は酪農学園での開催。

でも泊まりはススキノ;笑

特別な配慮があったわけではなく、アジア系旅行者などでホテルの空きがなかなかないらしい。

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この学会はとても多くの研究発表・症例報告を聴ける。

われわれ大動物臨床獣医師は、大学を卒業し、国家試験に合格したからといって十分な知識や技術を身につけている、などということはなくて、

一生勉強しつづけなければならない。

では、その方法や情報源はというと、周りの人に教わったり、本や文献を読んだり、今ならネットで情報を集めたり、講習会や学会を聴講したり、がスキルアップの主な手段だろうか。

その中で、北海道の産業動物獣医師にとって、この北海道産業動物獣医学会はとても大きな役割を果たしていると思う。

もしなかったら?と考えると、その意義の大きさを感じる。

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さて、発表の内容では・・

子牛の骨折治療の報告があったのは嬉しかった。

黒毛和種も搾乳種も、個体価格が高くなり、治療して欲しいという要求も高まっているのだろう。

北海道の牛の診療所は、手術室やx線装置が設備されているところが多い。

内固定も含めてレベルアップを考える時期に来ているのではないか。

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今の獣医科大学にはCTやMRIが設備され、学生たちは小動物臨床で骨折内固定も教わってくる。

いつまでも、「産業動物はそんなことはできない」とか「してもしょうがない」と言っているようでは、その職域で働こうという意欲さえ殺いでしまう(削いでしまう)。

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実習に来た学生から、「NOSAIへ就職を考えているけど北海道以外のNOSAIを勧められました」と聞いた。

北海道は、群管理、プロダクションメディシンは進んでいるけど、個体診療には「力が入れられない」、「レベルは高くない」、と言われることもあるらしい。

(私はそんなことはないと思っている)

以前にも書いた。日本の牛は、1/3が北海道に居る

牛の個体診療だって、日本のトップであるはずだ。

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獣医師になってからも意欲を持ち続け、立派な”仕事”を続けている獣医さん達の発表を今年もたくさん聴きことができた。

自分が上達していること、自分が向上していけることを感じられることが、意欲を持ち続けられることにつながるのではないか。

今年もまた大いに刺激をもらえた学会だった。

(つづく)

 



6 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2017-09-09 20:18:52
 お泊りがススキノだったんですか、いいですねぇー。
 牛さんも治療してもらえるようになって、うれしいです。
 体質が寒冷地仕様でない方もいらっしゃるでしょうけど、たくさんの症例に出会うことはスキルUP、モチベーションの獲得と持続にもよさそですけどねぇ。
 つづき、また読みます。
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>はとぽっけさん (hig)
2017-09-09 22:42:49
別にススキノのお店へ行ったわけではないので、学会会場から遠くてよろしくありませんでした。

臨床は患者さんが居てこそです。頭数と密度が少ないと、診療車の往診距離ばかりが伸びます。北海道こそキャピタル、と胸を張れるようでなければいけないと思います。
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Unknown (zebra)
2017-09-10 07:22:32
北海道だと最大公約数になってしまうからですかね。
まあ規模の大きいしっかりした?組織だとそうなりますよね。
拾えない症例の絶対数は北海道が多いわけですから、それを拾ってやろうと考えるなら?そこで個人開業するでしょう。
組織のぬるま湯の中で自分主義で成り上がりたいなら内地の出来るだけ小さな組織で、ということになります。
まあそういうオレ主義は表に通用する個人でも組織でもないわけでして、次記事のようなことをしでかすでしょうね。
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>zebraさん (hig)
2017-09-10 09:39:20
組織や診療所が大規模化して、効率よく運営するために、自由を制限し、レベルを上げるのではなく、伸びるのを抑えてまで均一化(キンタロウ飴)しようとするからかもしれません。

エースも、スラッガーも、守備の名人もいるチームが強いことはわかってると思うのですが。
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Unknown (anko)
2017-09-10 13:08:26
北海道は、群管理、プロダクションメディシンは進んでいるけど、個体診療には「力が入れられない」、「レベルは高くない」

これはショックですね。。。
本当に実際に現場を見た人がそう言っているならもっと頑張らなくてはならないですし、噂程度の認識なら現場の状況をもっと発信していきたいと思います。
自分は北海道が技術面では間違いないと思って就職しました。それがいつからそうなってしまったのか。反省します。
ただ、残念ながら学会などでいろいろな地区の話を聞いていると、内地だけでなく道内でも誤った認識に気付いていない例にいくつも遭遇します。テレビ番組で放送されていたり。。。
そしていつも思うのは、どうしてオーソリティーに確認しないのかです。
職場の大先生の話は盲目的に信じるのに、参考にした文献の著者には連絡を取ったりしていないようです。
ほとんどの雑誌ではちゃんとメアドまで書いていただいて、メールすれば100%の先生方が返答してくださいます(今のところ。。。)
「発表までは部外秘!」などというわけはないと思うのですが。
先駆者に発表前にコメントいただくというのはずるいと言えばずるいですけどね(笑
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>ankoさん (hig)
2017-09-10 21:30:47
心配するのは個体診療への意欲の減少です。「数が居る」ことで1頭の相対的比重が少なくなるのは仕方がないことかもしれませんが、「たかが1頭」という認識が臨床の価値をむしばんでいないか懸念します。

余裕があるなら発表前に、抄録を所内で回覧し、予演会を行い、文献を調べなおし、先達にアドバイスを求めるべきなのでしょう。反則ではないはずです;笑
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