しばしば、左右で多少性状が異なったり、量が違ったりするのだが、少なくとも私は片側だけの胸膜炎というのは経験したことがない。
胸腔は左右でつながっているかどうか・・・・・?
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以下、Equine Respiratory Medicine and Surgery の 「The Thorax 胸腔」の章、The pleurae 胸膜についての記載。
胸膜は途切れることなく胸腔の表面すべてを覆っている。臓側胸膜は肺を覆い、門部で縦隔胸膜につながっている。
壁側胸膜は肋部、横隔膜、縦隔と表現され、それぞれ肋骨、横隔膜、縦隔構造を覆っている。
縦隔尾部で2枚の薄い縦隔胸膜が重なった部分の裂隙を通して、二つの(左右の)胸腔がつながっている馬も居る。
In some horses the two pleural sacs communicate via fenestrations where the two thin layers of mediastinal pleura are apposed in the caudal mediastinum.
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図は馬の胸腔の模式図。「図説比較解剖学」(文永堂)から。
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左右の胸腔がつながっているかどうか、臨床的には重要な問題なのだが、「つながっている馬も中には居る」では解剖学にならないのだろう。
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今日は、種雄馬の疝痛の開腹手術。
血液検査をして、
2歳馬の角膜炎。
2歳馬の喉頭内視鏡検査。
ひじょうに珍しい長期在胎の帝王切開。
父が肺がんで逝き、最期を看取ることが出来、緩和ケアにも参加でき、何かと大変でしたが、今となっては勉強も出来たし、充実した気持ちがいっぱいです!!
人間の話ですが、父の場合、胸水を抜くまで溜ってなく、抜く事はなかったのですが、胸水が溜ると辛いそうですね・・・。
このお馬さんの様子はカップに入っているのが胸水ですか?適切な表現とは言えませんが、コーヒーの様ですね(苦)。抜かれてスッキリ、呼吸も楽になったなら良かったです。
しかし、胸水にしても腹水にしても辛そうですね。今年の夏は涼しいのでしょうかね?来月あたり、日高に行こうかと思ってます☆
先天的もしくは後天的につながって両側胸膜炎になっているかどうかを確かめるべく、片側に色素を流し続けたら興味深いのではないのでしょうか。
万が一解剖に供する機会があれば分布の濃淡も追求できるでしょうし。
関節腔の連結はどうやって確かめたのでしょうか。
牛は長期在胎はもれなく過大といっても過言ではないですね。
種雄のパラメーターが大きいところは興味深いです。
本来、左右の胸腔がつながっていないほうが望ましいし、そのようにできている。という考えですね。他の動物ではどうなんでしょうね。
後膝や飛節の関節腔も本来、それぞれ独立していた方が、機能的にも、感染に対する抵抗性もあるのかもしれません。しかし、すべての馬で脛骨距骨関節と近位足根間関節はつながっている。そこに、意味があるのかどうか・・・・
お父さん、お悔やみ申し上げます。しかし、大切に看取られた最期だったのですね。
炎症性胸水がこんなに溜まるようになると、抜いてすっきりとはいかないんですよね。
左右の胸腔の交通は、液体を入れるなどして確かめたのでしょうね。
胸膜炎は輸送性肺炎からくることがほとんどですから、左右がつながっていなくても左右とも感染するのでしょう。
牛は長期在胎するとたいへんですが、馬は良い大きさになってから生まれるし、そうでなければすぐ流産してしまう。と思っていましたが・・・・