馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

コロナの影響

2021-08-26 | 麻酔学

馬の麻酔薬がいよいよ手に入らなくなった。

人工呼吸器につないだコロナ患者に使うので在庫がないらしい。

動物用も手に入らない。

製造ラインは共用なんだろうか。あるいは、原料がないのか。

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麻酔に使う睡眠誘導剤も手に入らなくなった。

やはりコロナ医療に使われるかららしい。

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手術用の手袋もかんたんに破れるのが納品された。

苦情を言ったら、どうやら原料が手に入りにくくなり品質を落としているらしい。

コロナ禍で、衛生用品、医療消耗品が大量に消費されているからだそうだ。

こちらは手術用ではない手袋。同じ製品のサイズちがいなのだが、明らかに色が違う。

黄色が濃いのは伸縮性が劣る。

しかたがない、コロナのせいだ。

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きのう午後に来たのはブルトンの種雄馬。

包皮に数ヶ月前から腫瘍らしき塊ができた。

種付けにも影響する。

立位でできるかと考えていたらしいが、ぶら下がった塊だけでなく、包皮内にも塊状の増殖がある。

全身麻酔して摘出・切除することになった。

高齢ではないが、肥満で、運動不足で、サラブレッドより心臓や肺は小さい。

そして使いたい麻酔薬はない。

覚醒は問題なかったが・・・・・



4 コメント

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Unknown (zebra)
2021-08-26 06:33:38
コスト追求で製造余力がないのでしょうね。
品質下げれば製造効率上がるものはそうしてるのでしょうけれども、品質下げられないものは供給できなくなるということですね。
現在の生活様式ですと全国的に今月いっぱいでピークになりそうですが、未成年夏休み明けたら別のフェーズに入りそうな気もします。

パピローマですか。
それなら自家抗原作りたくなります。
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Unknown (はとぽっけ)
2021-08-26 07:04:05
 サラブレッドの心・肺は特別大きいのでしょ?走る馬を選別してきたためかと思っています。
 アブと戦っていたんだな。この馬も蹄が欠けているな。おしりの肉が少ないみたいだな。きれいにブラッシングされてているな。とかいろいろしげしげ見ちゃいました。できものは何だったのでしょ?
 医療資材不足は困りますね。予防で未病、体調管理がより大切。やんちゃや食べすぎしてる場合じゃないぞ、おんまさんがた。
 いちいちコロナのせいにしていないかと勘ぐる。コロナが話せたら「それはないでしょ」とでも言わないかな。インフルエンザが激減したのもコロナのせいだとか。

 雨が降らないといいな、と思っていたら、気温で気分  
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>zebraさん (hig)
2021-08-27 03:40:17
マスクや消毒薬、解熱剤、うがい薬、etc.いろんなものが手に入らなくなりましたが、こんなものも、という話でした。
おまけに品質管理ができなくなっている。
便乗品質ダウンが行われているとは思いませんけど、しかたない、で済まされています。

パピローマは、コロナのHow toでなんとかできるかもしれませんね。しかし、投入されている予算がはるかに桁違い。
パピローマ肉腫かどうかは、これから調べてもらいます。
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>はとぽっけさん (hig)
2021-08-27 03:45:02
われわれサラブレッドの獣医師は、日頃サラブレッドは感染に弱いとか骨折に弱いとか言いがちですが、サラブレッドの循環器や呼吸器の強さに助けられてもいます。管理が行き届いていることにもです。
重種馬を診るときにはそれを注意しないと失敗することがあると思います。

マスクは覚悟の上の過剰生産になったようですね。しかし、麻酔薬や手術用ガウンはちゃんと手に入るようになるのか、それはいつなのか・・・・
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