馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

来年の子馬をロドコッカスから守るために

2023-10-02 | 感染症

季節の反対側に来ると春のことは忘れがち。

ただ、間違いなくやってくる春のために、今だからやっておくべきことがある。

厩舎を掃除しましょう

ロドコッカス肺炎にかかって喉がゴロゴロ、咳をしていた子馬の痰には大量のロドコッカス Rhodococcus equi 強毒株が含まれている。

それは壁や扉や馬栓棒に付着し、こびりつき、あるいは厩舎のホコリになっている。

子馬はあちこち舐めるし、汚れは乾燥すると微粒子になって舞い上がる。

来年生まれる子馬をロドコッカス感染から守るために、今のうちに厩舎を掃除しましょう。

消毒薬をかける前にまず洗浄。

物理的に汚れや有機物を取り除かないと消毒効果は得られません。

冬になったら洗浄機が使えない。

子馬は暖かくなる前に生まれ始める。

掃除して、今年の汚れ(ロドコッカスの!)を落とすのは、、今でしょ!

厩舎わきのパドックの管理

今年、肺炎にかかった子馬を厩舎のそばの小パドックへ出しませんでしたか?

ロドコッカス肺炎にかかった子馬の糞便にはロドコッカス強毒株が大量に含まれています。

下痢はしてなかった?

下痢の有無にかかわらず、喀痰を大量に飲み込むから糞便中のロドコッカス菌量が増えるのでしょう。

ロドコッカスは土壌菌でもあり、土の中で生き延び、気温が上がると増殖できます。

来年、生まれたばかりの子馬を放すのはそのパドックではないですか?

ロドコッカス肺炎の子馬を放して汚染したなら、パドックの土を入替えるのも方法です。

パドックは草で覆われていた方が好いです。

今なら、土を入替えるか深く天地返しして、種を蒔いておけば霜が降りるまでに草の芽が出るでしょう。

ロドコッカス感染症の被害を把握し対策を立てておきましょう

今年の子馬の中で何頭が感染したか把握しておきましょう。

早期発見が重要です。

発症期の子馬の検温や血液検査が有効です。

手間も費用もかかります。

忙しく、作業に追われる春に役立つ対策を立てておきましょう。

             //////////

ムクゲはまだ咲いているけど

ドウダンツツジやツリバナは紅葉し始めた。

ヘンな秋だけど、秋は秋だ。

 

 

 

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2023-10-02 20:10:55
 いいですね!こういうふうに行動に導く指導はより有効かと。
 大事な仔馬を失わないように、hig先生方の助言を実践してくれるといいですね。

 Rhodococcus equiは乾燥に弱く最長9日しか生きられないけど、アメーバに食われると生き延びられる。そうですね。しかもRhodococcus は好物だとか。いっそのこと食菌アメーバに食わして退治する。というのもありかな?と考えてみたり。
 北海道なら地表20cmにシートを潜り込ませて天然のフリーズドライで土壌の殺菌はできないのかな?とも。研究者の報告待ちます。
 人ではペネムとマクロライドが重症患者に有効だったという報告がありました。
 以上、今日のおべんきょ終了。

 今年の秋は変ですか?
 栗が少ないなぁと思っていたら不作だそうです。残念です。
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>はとぽっけさん (hig)
2023-10-03 04:01:48
厩舎にアメーバーはいないでしょうね。
かつて厩舎の塵埃の量が調査されたことがあります。ロドが取れてきたかどうだったのだか・・・すでに子馬が居る時季の調査だったと思います。厩舎は換気が大切、という結論と考察でした。

オーストラリアのように外で産ませて、秋まで外で育てた方が感染症は少ない、という研究も報告されています。厩舎の掃除、洗浄、消毒は大切なことだと考えます。

ことし、うちの栗は豊作のようです。秋が半月ほど遅れていますよね。昼間は半袖Tシャツでも動くと暑いです。
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