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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

慢性の小腸閉塞

2008-11-17 | 学問

元気で調教を受けていた2歳馬が、「3日前から食欲不振、きのうからは軽度の疝痛」ということで来院した。

心拍数54/分、PCV56%、白血球数13000/μl、乳酸1.2mmol/l。

直腸検査では小腸の膨満が触知され、超音波検査でも小腸は液状の内容で膨満し、蠕動に乏しかった。

絶食し、輸液療法を開始した。

翌日の胃内視鏡検査では無腺部に胃潰瘍があったので、プロトンポンプインヒビターの1日1回投与も併用した。

血液生化学検査では、血清蛋白4.8g/dl、総ビリルビン2.5mg/dl、GOT737IU、γGTP135IU、アルブミン2.5g/dlだった。

その後も食欲不振と軽度の疝痛が続いた。

1週間後には、PCV55%、白血球数18100/μ、乳酸5.8mmol/l、血清蛋白5.6g/dl、アルブミン3.1g/dl、総ビリルビン4.4mg/dl、GOT841IU、γGTP207IUとなっていた。

                              -

何だ?

肝障害による消化管全体の機能不全か?

肝障害で機能性小腸閉塞が起こることがあるが・・・・・・

                              -

直腸検査で肥厚した小腸を蝕知し、胃カテーテルで粥状の胃内容が回収されたので、小腸閉塞と判断し、探査的開腹手術を行った。

 開腹手術では、空腸の2箇所それぞれ約1mにわたって、漿膜面の発赤と粗造化を有して腸壁が肥厚した部位があった。

何だ?

Meed (つづく)