犬の食べ方を観ていると、「食べる」というよりは「丸呑み」。
口に入れたものをすりつぶすという意味での臼歯はイヌにはない。
(解剖学の教科書ではいちおう「臼歯」ということになっている)
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これはまだ乳歯だけれど、細くて甘噛みされてもときどき皮膚が切れる。
小動物を捕まえて食べることで、狩りの練習をしながら成獣になるためには、小さくてよく刺さる歯が都合が良いのだろう。
成長期のある時期、なんでも齧ってみて、何でも食べてみて、栄養になるものは何でも食べられるようにしておくことが、肉食から雑食に耐えて生き延びてきたイヌの進化上の生存戦術だったのだろう。
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</object>YouTube: Man Vs Dog
さて、丸呑みでは人はイヌにはかなわない。
これはまあフェアな競争じゃないな。
ドッグフードは人は味に辟易している。
イヌは酸味、苦味は苦手だし、塩味には無頓着らしい。
ナトリウムをうまいと感じなくても、基本肉食なので、ナトリウム不足になる心配がなかったからかもしれない。
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しかし、早食いは仲間に負けないで栄養を採って生き延びるという点では目的にあっている。
食べ物は栄養価が高く、消化しやすく、腐りやすい肉なのだし。
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草食獣は口を閉じても上顎と下顎の臼歯は完全には噛み合わない。
人のように開けたり閉じたりで咀嚼するのではないのだ。
横に動かしてすりつぶす。
その動きは分析されているのだが、個体や食べ物によって一定ではないらしい。
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草や乾草より咀嚼する必要が少ない穀類や配合飼料をたくさんてべていると、
臼歯の咬合面を端から端までは使わなくなる。
それで、斜歯(臼歯の端がとがること)が多くなる。
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馬も歯の手入れが必要になる。
もし歯の手入れが不可欠なものなら、野生馬は生き延びていけない。
人に飼われて、濃厚飼料を食べているがゆえに、斜歯になりやすいのだろう。