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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

獣医師講習会

2006-09-27 | 講習会

 きのうは獣医師むけの講習会だった。4つの演題で、それぞれ業者のプレゼンだった。

一つ目は、ニュージーランドの牛の初乳を粉末にした製剤のコマーシャル。

初乳はIgGをはじめ多くの免疫成分を含んでいる。しかし、それらの免疫成分のほとんどは、生まれて1日くらいしか吸収できない。それ以降になると消化してしまうからだ。

だから普通に考えれば生まれて1日以上経った馬に初乳を与えても効果は得られないのだが、吸収しなくても腸の粘膜をコーティングする効果はあるのではないかとか、免疫系を刺激して活性化させる働きがあるのではないかという考えはあるようだ。

いままでにも、類似の製品はあった。

しかし、あくまで薬ではなく、飼料添加物としての販売だ。

「効果があります」とは言ってはいけないことになっている。また、「効果があります」と言う根拠もないようだった。

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 二つ目の演題は海外での学会の馬の栄養に関する内容を紹介するもの。

これはスライドの誤字、脱字がひどかった。誤字脱字などというものではなく、読んでも意味がわからないほどなのだ。何十人もの聴衆を集めて話をするのに、自分が使うスライドを確認していないのか?

スライドと言っても、今はもう写真で作ったスライドではない。コンピューターで作ったプレゼンテーションなので、間違いに気づけば修正はいつでもできる。

研究者が集まる学会の講演要旨を、専門ではない者に紹介するには、その研究の背景や基礎知識を説明しないと理解してもらえない。

だれか、あの話を聞いて役に立った人がいたのだろうか?

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 3つ目はサーモグラフィーのコマーシャル。赤外線カメラで馬を見ると、温度が高い部分がわかる。P9270006

220万円だそうだ。10年前は1千万円以上したそうだ。「5-6年前でも500万円以上したし、今でも他社の同機能の製品はそのくらいします。」

あと10年待てば、50万円くらいになるだろうか?

以前、家庭用のヴィデオカメラに赤外線も感じるカメラがあった。しかし、服が透けて見えたり映ったりして、悪用される例があったので発売中止になった。

家庭用の汎用器になれば、技術的には値段は下げられるんじゃないだろうか・・・・・・

「あれば使う」かもしれないが、「無いと困る」わけではないのに200万円はね~

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 4つ目はデジタルのX線撮影装置。コードでパソコンとつながったプレートでX線撮影すると、現像することなくP9270007 パソコンで画像を見ることができる。

http://cweb.canon.jp/medical/x-ray/cxdi40ec/index.html

USAの馬獣医師のあいだでも、今、これと同様に往診先でX線画像を見ることができるシステムが注目を浴びている。

昨年のAAEPの展示でも、一番注目されていたようだった。

往診に回る先生達だけでなく、手術室で使っても、現像に行かなくても手術室のパソコンで画像を見られるので、透視装置のように使うことができる。

販売希望価格2千万円。

実勢価格7-800万円だそうだ。

しかし、馬の獣医師でx線撮影のカセットを蹴飛ばされたことがない人はいないだろう。

あのプレートは無償で修理してくれ・・・・・ないだろうな・・・・・・