子馬の血清IgG量と感染症への罹りやすさは、640頭の子馬について調べられた。
60日齢までに感染症になった子馬は56頭で、
IgG量が800mg/dl未満の子馬では感染症の発症率は19.4%、
800以上1600mg/dl未満の子馬では8.9%、
1600以上2400mg/dl未満の子馬では4.7%、
2400mg/dl以上の子馬では3.4%であった。
血清中IgG量が少ないほど、早い日齢で感染症による初診を受けていた。
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血清中IgG量が800mg/dlであった子馬108頭の子馬のうち、38頭は血漿輸血を受けていた。
1リッターの血漿輸血により平均315mg/dlのIgG量が平均609mg/dlへと、平均294mg/dl増加した。
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血清中IgG量が400mg/dl未満で血漿輸血を受けた子馬の感染症発症率14.8%(4/27)は、血漿輸血を受けなかった子馬の発症率66.7%(6/9)に比べて有意に低かった。
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子馬のIgGと感染症発症率の話で難しいのは、どこかで線を引かなければいけないことだ。
古典的には400とか800mg/dlが境界とされていて、調査・研究でもこれが境目として使われていることが多い。
しかし、本当に良質な初乳を、子馬が充分な量飲んで、きちんと吸収できれば、子馬の血清中IgG濃度は2000mg/dlを越える(左・右)。
上に示したデータでもわかるように、そういう子馬は本当に感染症にかかりにくい。
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しかし、実際にはもっと低いレベル(400とか800mg/dl)で線を引いて、それより高いか低いかで比較することになる。790の子馬と810の子馬は、別のグループとして比較されることになる。
それが、はっきりした結果が出ない理由のひとつになっている。
数例の子馬を見ていて、900mg/dlの子馬も病気をしたとか、600mg/dlの子馬も病気をしなかったとかいう印象を持つのは、どこかで線を引かなければならない難しさだ。
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科学的な調査をした成績でも例数が不足していることがしばしばある。
移行免疫不全は10-20%の率で起こるとされている。
100頭規模の子馬で調査しても、移行免疫不全の子馬は10-20頭しかいない。
その中で感染症にかかる子馬の率を話しするとすれば、たまたま感染症の子馬が3頭なら発症率30%、5頭いれば50%と言う話になってしまう。
移行免疫不全と感染症発症率の調査をするなら、全体では1000頭近い子馬を調べて、100頭近い移行免疫不全の子馬が感染症になったかどうかを調べなければ、まともな調査にならない。
しかし、それほどの数の子馬のIgGを調べて、感染症になったかどうかを調査した成績は世界的にもあまりない。
世界的な仕事をしてるんだけどなア・・・・・・・
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良い調査研究をしたら、文章にしておきたい。
口頭発表だけだと、発表抄録しか残らない。
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英語にしたらJES Journal of equine science へどうぞ。投稿論文、掲載論文を増やしたいそうだ。
症例報告、1例報告も受け付ける。
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しかし、暖かくてどんどん溶けた。